(第2回)コンバージェンスの構造

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池末成明

コンバージェンスが生み出す1兆ドルを超える市場をめぐる戦いが、熾烈さを増しています。この競争で生き残るためには、まずコンバージェンスの構造を理解する必要があります(図1)。その構造は、1.プラットフォームのコンバージェンス、2.組織のコンバージェンス、そして3.製品とサービスのコンバージェンスからなります(「The trillion dollar challenge」)(DTT:Deloitte Touche Tohmatsu)、2005/11/9)。

図1:コンバージェンスの構造

コンバージェンス 1兆ドルの挑戦より転載
1.プラットフォームのコンバージェンス
 プラットフォームのコンバージェンスとは、コンバージェンスの基盤で、写真や画像、動画、音声などのフォーマット、DVD、ディスク、コネクターやバスの標準、基本ソフトウェア、インターネットプロトコル、携帯電話やゲーム機のコンテンツを動かす基盤となるLSIなどがあります。プラットフォームのコンバージェンスをめぐる主導権の争いは熾烈で、最近のDVDをめぐる標準化の競争などは代表的な例でしょう。また。プラットフォームのコンバージェンスは、基本ソフトウェアのように独占化しやすいことも特徴です。

2.組織のコンバージェンス
 組織のコンバージェンスとは、複数の組織がコラボレーションして、異なる機器やネットワークを相互接続し、コンバージェンスした製品やサービスを開発し、流通させることなどをいいます。たとえば、音楽のダウンロードや携帯電話の着メロは、多数の組織が、開発、マーケティングそして流通に関わっています。

3.製品とサービスのコンバージェンス
 製品とサービスのコンバージェンスは、プラットフォームのコンバージェンスと組織のコンバージェンスがあってこそ形になります。また、プラットフォームのコンバージェンスは収斂化に向かうのに対し、製品とサービスのコンバージェンスは、既存の要素技術を組み合わせ新しい製品やサービスを創造し、顧客のニーズの変化に対応しながら多様化し、市場の細分化を進めます。そのひとつの流れが、ファッショナブルな携帯電話です。今後はさらに高級感のあるブランドや人気のあるブランドを冠した携帯端末も生まれてくるでしょう。ファッションを重視する傾向は、携帯電話機メーカーにとって歓迎すべき動きで、複雑な機能を減らし、希望小売価格に沿ったコストを実現し、利益率を高めることができます(「Prediction 2006 Telecommunmication」,DTT)。このファッション性を重視した動向は、組織のコンバージェンスの一形態である仮想移動体サービス事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)を利用したブランド戦略として、今後数年間の大きな話題になり、新しいビジネスモデルとして、コミュニティの創造もメインテーマになっていくと思います(「Prediction 2005 Wireless Telecommunmication」,DTT)。

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