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摘発されれば企業価値に甚大な被害
高まり続ける海外贈収賄というリスク
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守田 日弁連のガイダンスは、良くまとまっています。その中にも記載されている「贈答接待のスクリーニング」「エージェントのバックグラウンドチェック」「M&Aをするときのパートナーも含めたバックグラウンドチェック」については、従来から当社でも反腐敗プログラムの柱になっています。こうした取り組みは、世界的なトレンドになりつつあると思います。

贈収賄は存在する問題だからトップが語るべき

―企業のコンプライアンス体制はどのように構築すべきでしょうか。

守田 当社の全体的なコンプライアンス・プログラムでは、「倫理行動基準」「ホットライン」「社員への啓蒙」を柱としています。全体のコンプライアンス・プログラムの中でさらに腐敗行為防止対策については先ほど申し上げたプログラムを実施しているわけですが、エージェント・投資先のバックグラウンドなどの情報は、企業が内部に持っている情報だけではなく、外部のリソースにも頼らざるを得ません。財務情報等は、従来から比較的入手することができましたが、調査対象につき過去に問題が発生していたかどうか、またレピュテーションはどうかなど、広く情報を収集する必要があります。

富田 社員への啓蒙、研修という意味では、日本ではこれまで対面中心の研修が行われてきましたが、現在はeラーニングが主流になりつつあります。eラーニングを用いれば受講状況、履歴も記録されますし、繰り返し学習し習熟度を本社で把握できるというメリットがある。そうした理解が企業にも広がってきているので、われわれは日本企業が進出している国のすべての言語に対応する教材の整備を進めていきたいと考えています。

西垣 海外に展開している企業の皆さんは、そこに贈収賄がすでに存在しているという大前提を持った方がいい。従来であればそれを仕方のないことだと見て見ぬふりのアプローチが取られてきましたが、現在は日弁連ガイダンスを含めて積極的かつ現実的なアプローチが存在しています。そうしたアプローチを採用することでリスクが抑えられることを理解することがまずは重要です。

富田 経産省の方針にもあるように原則としては短期的な利益よりもコンプライアンスを重視していくことが大切ですが、現場には日々の営業的なプレッシャーもかかる中でどう折り合いをつけていくかが難しいところ。そこで重要になるのがトップのメッセージを現場の隅々まで浸透できるかだと思います。企業にとって大きな負担ですが、贈収賄をなくし公正な競争実現に向けて、日本が中心的な役割を担い牽引していくという気概で、ポジティブに取り組んでいくことが大切ではないでしょうか。

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