「赤い物」を開店祝いに贈るのは間違っている 相手に喜ばれる「お祝い」「差し入れ」の選び方

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会社勤めをしながら画家としても活動するBさんは、「個展の会場は小さな冷蔵庫しかない場合がある。一人ではなく何人も続けてケーキをいただくと、嬉しいけれども、食べきれなくなる。結局ムダになってしまうこともあります」。社会人劇団に参加するCさんも同じ意見だ。「日持ちがするもののほうがありがたいですね。おにぎりやサンドイッチなども、準備で忙しい合間につまみやすいので、皆に好評です」。さらにお菓子や食べ物は、個装されている方がいいという。食べきれずに残ったとしても、出演者やスタッフに配りやすいし、持ち帰りもしやすいからだ。

花を贈るのはもちろんOKだ。ただ、「個展の場合は、絵の雰囲気と合わない花を贈らないように気をつけましょう」(岩下さん)。

相手への祝福の気持ちが最優先

ちなみに、前出の画家のBさんは、個展を開いた時、初対面である友人の知人から、1万円の御祝に加えて、あるものをもらったことがある。「それは手紙。『私の友達の作品を海外の美術館に寄贈したいが断られてしまったので、手伝ってください』という内容でしたが、非常識だと思い丁重にお断りしました」(Bさん)。あくまでもご祝儀や差し入れは純粋に相手への祝福の気持ちや、ねぎらいの思いを込めて贈るもの。ビジネスや協力関係を構築するためのものではない。もし、どうしてもそうしたお願いをするのであれば、別の日に改めて伺うべきだろう。

また、飲食店を開業したDさんは、なぜか事業と関係ない女性用化粧品を大量にもらったことがあるという。「『奥さんにどうぞ』というのですが、僕には何の必要もない。さらに、同じパンフレットが大量に入っていたので、店に置いて宣伝してほしいということなのかも」とDさんは考えている。

こうした振る舞いをする人はめったにいないと思うが、くれぐれも気をつけて欲しい。基本は相手に対するお祝いの気持ちをご祝儀や品物に込めると同時に、相手が喜んでくれる贈り物を届けることが大切だ。

杉山 直隆 オフィス解体新書・代表

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すぎやま なおたか / Naotaka Sugiyama

1975年生まれ。専修大学法学部卒業後、カデナクリエイト入社。ビジネス誌やビジネス書、企業の社内報・PR誌の執筆・編集を主に手がける。2016年に独立(屋号:オフィス解体新書)。社会人インターンシップ情報を紹介するブログメディア「30歳からのインターンシップ」を立ち上げ、取材活動をしている。共著に『課長・部長のための労務管理 問題解決の基本』『図解&事例で学ぶ入社1年目の教科書』『クイズ商売脳の鍛え方』など。

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