攻めるファミマ、守るローソン セブンを追うコンビニ大手2社、出店戦略に違い

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一方のローソンは、ファミマとは逆にアクセルを緩める。12年度出店数の938店に対し、13年度は出店計画を870店に抑え、既存店への投資を重点的に行う。「潰し合いは何年も前から始まっている。潰されないように、私たちは(他社とは)違う存在になってきた」と、ローソンの新浪剛史社長は語る。

ローソンの苦い記憶

背景には、新浪氏が社長に就任した02年当時、出店を加速するあまり不採算店が増え、大量の店舗閉鎖に追い込まれた苦い経験がある。「過去の失敗を繰り返さない」と新浪社長は力を込める。ローソンは既存店の収益を改善するため、店内で淹れるコーヒーや、店内で調理する手作りおにぎり、カツサンドなどのファストフード商材を拡充する。これらの商品は粗利率が高く、既存店の利益への貢献が大きい。12年度の既存店売上高はほぼ前年並み。13年度の計画も前年並みと慎重だ。

足元の景況感については、「3月は若干よくなったが、まだ消費拡大に結びついているということはない」(ファミリーマート中山社長)、「下げ止まりの感はあるが、もう一歩」(ローソン新浪社長)と、両社とも楽観視はしていない。

セブンを追って攻めるファミマと守るローソン。2社の出店戦略の違いがどう明暗を分けるのか。新年度業績を占うポイントとなりそうだ。

(撮影:梅谷 秀司、田所 千代美)

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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