ライザップ、「宣伝費削減」はヤセ我慢なのか 利用者は5.6万人突破だが、先行きに不安も

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証券アナリストが下す投資判断は「買い」「中立」「売り」など所属する証券会社によって表現が異なる。ジャパンエクイティリサーチの場合は4段階評価としており、買い推奨は「ロング」、株価上昇が見込めるなら「ポジティブ」としている。逆に売り推奨は「ショート」、株価下落リスクを織り込んでいれば「ネガティブ」としている。

マイナス評価とする根拠は昨年度末以降のライザップの出店状況にある。昨年度は41店舗純増となる80店舗にまで拡大すると、今年1月の時点まで瀬戸社長は説明していた。ところが結果は75店舗と計画より5店舗少ない出店に終わった。

今年度は45店舗純増の120店舗とする計画で9月までに8店舗出店しているが、その地域は「青森や久留米(福岡県)など地方色が濃いうえに出店ペースが落ち着いたように感じる」(山田氏)。

会社側は「今年度は出店数にこだわらず採算の向上に注力しているから」と説明するが、それは広告宣伝費の抑制もあるので、ライザップの変化を手放しでは評価できないというわけだ。

縮小均衡のステージに入ったか?

「イケイケドンドンでテレビCMを打って出店しブームを巻き起こしたことで、ライザップはここまで成長した。だが、継続利用や紹介だけで、会員数を第一とするビジネスモデルを維持できるのか。成長のステージは縮小均衡に入ったのではないか」。山田氏はこのような疑念を持つ。

RIZAPグループは昨年2月、「コミット2020」と題した中期経営計画を発表。まずは今2016年度に売上高1000億円、営業利益100億円とし、2020年度には売上高3000億円、営業利益350億円を目指すとした。

2016年度については年初から立て続けに6社を買収したM&A(合併・買収)効果もあり、掲げた目標を上回る勢いを見せている。とはいえ、これから4年でさらに3倍近く拡大していかなければならない。達成のカギを握るのはやはりライザップ(トレーニングジム)だろう。2020年度には店舗数280店を目標としているが、勢いが続くかどうかはわからない。

瀬戸社長は「ライザップは世間一般からするとまだいかがわしいイメージを持たれている。ビフォー・アフターのCMなどで語れない部分をどう伝えるか、ライザップの中身を社会に伝えていこうといろいろ考えている」と話す。社会的イメージだけでなく、株式市場の疑心を払拭していくことも必要になりそうだ。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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