東大とは違う、米国流リベラルアーツの衝撃 留学して体感した、アメリカの大学文化

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できない分だけ、伸びしろもある

リベラルアーツの大学では、Academic Resource Center, Math and Science Resource Centerその他いろいろあり、サポート態勢は非常に充実していますが、自分から主体的に利用しないかぎり、効果を得ることは難しいと言えます。逆に、自ら主体的にかかわれば、私のような日本生まれ日本育ちの人間でも、授業についていくことはできます。

参考までにいくつかサポートを紹介します。

(1)Office Hour(オフィスアワー)

これ有名ですね。TOEFLのリスニングセクションで必ず出てくる、悩める学生と、時に優しく時に厳しく、建設的な意見を出す教授というシチュエーション。まさにそんな感じです。強いて言えば、人文科学と社会科学の教授のオフィスアワーには、ペーパー(小論文)の相談をしに行くことが多いので教授と2人きりですが、自然科学のオフィスアワーの場合は、その時間に来た学生みんな一緒になって、あれやこれや話し合うことが違う点です。

(2)Writing Workshop(ライティングワークショップ)

ライティングワークショップは学内に3箇所設けられていて、チューターとしてのトレーニングを受けた学生が、ペーパーの相談やら添削をやってくれます。さらに、私のようにペーパーを書くことに慣れていない人は、Writing Partner(ライティングパートナー)という、いつでもどこでも相談に乗ってくれる個別のパートナーをつけることができます。私は主にパートナーに見てもらっていますが、内容面に関しては、教授やTA(ティーチングアシスタント)に見てもらっています。

(3) Tutor(チューター)

どの授業でも、チューター(たいていはその授業を過去にとったことがある学生)をつけることができます。1対1で話すので、自分がどれだけ理解できているのかがわかります。人に話してみると、わかったつもりだったことが実はまったくわかってなかった、ことがわかります。

(4) Study Skill Session(スタディースキルセッション)

2人の学生が、週1回のペースで勉強のストラテジー面(時間管理方法、ノートの取り方、ペーパーの書き方など)を30分程度プレゼンテーションするものです。学生だからこそ、どのようなところにほかの人がつまずくのかもわかり、現実的なアドバイスをくれます。

今振り返ってみると、始めの2カ月間は、日々新しいことだらけでした。自分の力があまりにも通用しないことで落ち込むこともありました。ですが、「できない分だけ伸びしろもある」と信じて、がむしゃらに頑張っていたのを思い出します。

ぎこちないながらも、こうして私の留学生活が始まったのです。

(構成:アゴス・ジャパン 後藤道代)

佐久間 美帆 米ウィリアムズカレッジ2年生

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さくま みほ

1992年生まれ。東京学芸大学附属高校卒業。2011年、東京大学文科一類合格。1学期間東京大学に通った後、同年秋から米国マサチューセッツ州のWilliams Collegeに入学。アゴス・ジャパンのホームページで「佐久間美帆のリベラルアーツカレッジレポート」を毎月更新
 

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