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本と書店、電子もリアルも“面白い” 【第4回目】勝負はコンテンツ、本は「シーン」で使い分けよ

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電子書籍が普及すれば、いずれ紙の書籍はなくなるのかという問いに、成毛氏は「なくなるわけがない」と一蹴し、むしろ相乗効果を発揮すると語る。連載最終回の今回は、電子書籍と紙の書籍、さらにはリアル書店も含め、出版市場の新たな可能性を聞く。

――電子書籍が普及しても、紙の書籍はなくならない、と。

なくなりませんよ。前の回にもお話ししましたが、電子書籍に向いている本と向いていない本がある。図版やグラフ、脚注が多いような本は、電子書籍で読むのは非常に面倒です。図鑑なども、検索性はよくなるかもしれませんが、パラパラめくって楽しむことはできない。

僕は移動中の新幹線や飛行機の中でも紙の本を読みます。僕の場合、本を読むのはほとんど、書評を書くためですから。要点を素早く把握するために、ものすごいスピードでページを繰っていく。電子書籍では、こんな読み方は無理ですね。

ただ、長期の出張のときなどは、電子書籍のほうがいいでしょうね。たくさんの本を持っていくのは重いので。電子書籍専用端末なら、数週間も充電しなくてよいものもあるので便利です。

結局は、読者がそのサービスに利便性と快適性を感じるかどうかなんですよ。生活やビジネスのシーンによって、紙と電子の使い分けが進むでしょうね。

――いわゆるリアル書店の存続については、どのように見ていますか。

リアル書店もなくなりませんよ。ただし、すべての書店が生き残るわけではない。残るとすれば大型書店ですね。

本好きの人にとって、大型書店には、そこに行くだけで何かワクワクさせるような期待感がある。平積みになっている本を見ると「こんな本が売れているのか」という発見もある。もちろん、どんな本が新刊として出ているのかもわかる。

先日、ある大型書店の経営幹部の人に聞いた話だと、地方都市の新店のオープンには、レジに長蛇の列ができるそうです。リアル書店、特に大型書店に対するニーズは根強い。

一方で、近隣に書店がないという町村も数多くあります。じゃあ、こういうところでは電子書籍が売れるかというと、そういうわけではありません。本のニーズが少ないから書店がないわけで。楽観視しないで見極める必要があります。

次ページ紙か電子か、という議論は不毛