傷心の欧州、「英EU離脱」を乗り越えられるか

9月16日のEU首脳会議で再び「決起」

9月8日にトゥスクEU大統領はメイ英首相と会談し、英国の離脱交渉などについて話し合った。ロンドンの首相官邸に入る両者(ロイター/Neil Hall)

「悪魔はすてきな調べを持っている」ということわざがある。欧州連合(EU)の各指導者は、英国民投票でEU離脱派に勝利をもたらしたと彼らが思っているスローガンを借りることで、このことわざを痛感しつつある。そのスローガンとは「支配権を取り戻せ」というものだ。

これが欧州だ。もちろん、何に関する「支配権」を、誰から、誰のために、誰が取り戻すのかという点は未解決だ。

しかし、英国民投票がもたらしたダメージを検証するためEU各国の首脳が集う今週においては、支配権を取り戻せという考え方には強い魅力があって反論はしにくく、彼らが有権者の懸念に耳を傾けたことを示唆するものでもある。

英離脱を教訓に支配権を取り戻せ

16日にブラチスラバで開かれるEU首脳会議は、議長を務めるトゥスクEU大統領によれば、「英国のEU離脱自体」ではなく、その教訓について討議する場であり、「われわれに共通する将来の政治的支配権を取り戻す」ことが目的になる。

政治的に深い食い違いがあるものの、各国は、雇用創出や統一通貨ユーロの下支え、難民対策の分担などをめぐる諸問題を抱えている。頭痛のタネを分け合うために、最低限の合意は得られるだろう。

首脳会議に集う27カ国の指導者(メイ英首相は今回不参加)は、移民やテロリストへの非難を口にするだろう。グローバル経済のデジタル化が悪用されていることへの対応策も議題となる見通しだ。

EU当局者の一人はロイターに対し、「EU懐疑派の『支配権を取り戻せ』という処方箋は全くもって悪質だったが、人々の懸念を正しく診断したものではあった」と指摘している。

最近になって、EUはアップルに過去最高の追徴課税を課し、過剰な財政赤字の是正に十分な努力を行なっていないとしてスペインとポルトガルへの制裁手続きの開始を承認。EU域内で追加徴収される携帯電話の国際ローミング料の撤廃に向けても前進した。

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