ホンダの熊本二輪生産、ついに全面復旧 日産規模は震災前水準に

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 9月13日、ホンダは熊本製作所(熊本県大津町)の二輪車のすべての生産ラインが5日までに稼働を再開し、1日当たりの二輪車生産台数が4月の熊本地震発生前の水準に戻ったことを明らかにした。写真は同社のロゴ。5月撮影(2016年 ロイター/Jorge Silva)

[大津町(熊本県) 13日 ロイター] - ホンダ<7267.T>は13日、4月の熊本地震発生で被災した熊本製作所(熊本県大津町)の二輪車の生産ライン3本すべての稼働が5日までに再開し、1日当たりの二輪車生産台数が震災前の水準に戻ったことを明らかにした。震災から約5カ月かけて全面復旧を果たした。

同社は13日、震災後初めて熊本製作所の内部を報道陣に公開。八郷隆弘社長は会見で、震災による「ダメージは深刻なものだった。一部に修繕の必要な箇所は残っているが、従業員や地元の方々の協力・支援のおかげで、(1日当たりの)生産は震災前の水準に回復した」と述べ、「納品・納車の遅れを挽回すべく、全力で取り組む」とした。

同製作所は国内唯一の二輪生産拠点で、八郷社長は「世界に展開できる二輪のマザー工場の位置づけに変わりはない」と強調。前期は生産台数の約65%が輸出用で円高傾向は逆風だが、円高だけを理由に海外生産に切り換えることはしないとの意向を示した。二輪車の完成車組み立て工場の生産設備などの被害が大きかったほか、余震が続いて被害状況の把握に時間がかかったが、設備の復旧に合わせて生産ラインの再開を段階的に進めていた。

二輪事業本部長を務める青山真二執行役員によると、2017年3月期の同製作所での二輪車生産は、震災前に年20万台を計画していたが、現在はまだ「17万5000台のレベル」。2万5000台のマイナス分は「リカバリーの余地がまだある」と述べ、生産ラインのシフトを2交代制から3交代制に増やすなどして挽回を目指す。

ホンダによると、現時点での熊本地震による被害総額は約251億円。このうち、損壊した設備などの復旧費用が132億円。同製作所では四輪車用エンジン部品や耕運機などの汎用製品も生産しており、生産停止に伴う販売減少(二輪車で6万台、四輪車で1万5000台、汎用製品で1万台)の影響額は119億円となっている。熊本では13日も地震が発生しており、先行きは不透明だが、影響を最小限に抑えたい考え。

 

(白木真紀 編集:田巻一彦)

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