就職先が決まらずに卒業した若者を救済 4年目を迎えた「パソナフレッシュキャリア社員制度」

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研修の内容はビジネスマナーやモチベーション研修などの「基礎研修」から、職種・業種別に専門知識を身につける「高度専門職研修」まで多岐にわたる。契約社員なので、勤務日数に応じて給与が支払われるし、福利厚生制度を利用することもできる。

企業は就職浪人を評価していない

このプログラムに参加する最大のメリットは、就職浪人という「無職」になってキャリブランクを作らずにすむこと。入社試験において「卒業後3年以内は新卒扱い」という建て前はあるが、企業は本音ベースでは就職浪人をあまり評価していない。

フレッシュキャリア社員は日々の業務や研究で鍛えられているため、これまで採用に苦労していた中堅・中小企業からは重宝がられている。中には、「昨年フレッシュキャリア社員から正社員に採用したが、今年もフレッシュキャリア社員から採用したい」という企業もあるほどだ。

200人の若者が入社式に参加

この日の入社式に参加した若者は既に3月中にビジネスマナーなどの研修を受けているので、立ち居振る舞いやあいさつがテキパキしていて、在学中に就活に失敗してしまったという暗さはない。参加者の一人は「『パソナフレッシュキャリア社員制度』を経由して正社員になった人がたくさんいる。ここでがんばればなんとかなる」と言った。

景気が上向きつつあるとはいえ、依然として多数の若者が就職できないまま大学を卒業している。4年目を迎えた「パソナフレッシュキャリア社員制度」がこうした若者を支援する制度として定着してきたようだ。

なお、3月29日には東京に先駆けて大阪でも200人を集めて「パソナフレッシュキャリア社員制度」の入社式が行われた。

(撮影:尾形文繁) 

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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