「転職サイトに登録」は転職活動とはいえない 「理想の仕事が降ってくる」は幻想だ

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周りは転職によって生き生きとしているようだ、だから自分も転職をすれば生き生きとできるはずだ、という思考回路のように思えてなりません。好きなことを仕事にしてきたわけではないとおっしゃっていますが、事実としては7年間も同じその好きでもない仕事を継続されてきたわけです。その間、本当に好きな仕事を積極的に探していれば、とっくに転職をしていたはずでしょう。しかしながら、自分自身では踏み出すきっかけを持てなかった、ということなのかと思われます。

今まで自分がやりたいと思う仕事をアクティブに探してこなかったのは、積極的な思考と行動が欠如していたからで、「好きでもない仕事」と呼ぶのは、周りに取り残されないための漠然とした不安解消としての転職を、正当化しようとする無意識の防衛本能のように思えてなりません。

往々にして、自分自身に起因する具体的な目的なき転職は失敗します。何となくあの業界や仕事がブームだから、何となく今の仕事や職場が嫌だから、そういった理由で転職をする人は多いですが、突き詰めるとそういった場合は、転職の軸が自分自身ではなく、外部にあるものです。

前者は「あの仕事がよさそうに見えるから」と未確認情報に踊らされた結果ですし、後者は「完璧な職場があるはずだ」とか「環境さえ変われば自分も変われる」という夢追求型のないものねだりでしかありません。

転職は「手段」であって目的ではない

さらに言うと、「転職で成功をつかむ」といった記事を読んだり、人の話を聞くと転職活動を始める人がいますが、転職は手段であって目的ではありません。そういった思考や動機の軸には、自分自身の価値観や具体的目的は不在なわけです。自分自身が主役であるはずの転職において、自分自身が不在であっては成功するわけはありません。

ですから、ゆるるんさんもまず最初に思考の軸を自分自身に据える必要があるのです。これが最初のステップです。なぜ、今、自分は仕事や職場に不満があるのか、どんなことであれば自分が集中できるのか、そういったことを考えるとともに、自分にとっての理想のキャリアをよく考えるべきです。その結果として転職が妥当な選択肢であれば、転職を手段として活用すればよいのです。転職ありきでは何も変わりません。

数字に追われる営業が嫌だ、というのはわかりました。

では反対に、どんな仕事であればよいのかは具体的に考えているでしょうか。そして考えた末に、そういった仕事に就くためにどんな具体的な準備をしていますか。自分自身が不在だと、目的があいまいになり、結果として積極的なアクションにつながらないのです。

実際、ゆるるんさんの転職手法は転職サイトに登録をするというものです。これは誰かが自分に気がついてくれるはずだ、どこかから理想の仕事が降ってくるはずだ、という受け身の転職方法です。

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