香港の「反中独立派」が中国を揺さぶり始めた 香港議会選挙で反中勢力が6議席を獲得

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香港で投票が行われた立法会(議会、定数70)選挙は、投票率が過去最高を記録し、「一国二制度」のもとでの民主主義の行方をめぐる有権者の関心の高さを示した。写真は集計センター(2016年 ロイター/Bobby Yip)

9月4日、香港で立法会(議会)選挙が行われた。定数70のうち、民主派が30の議席を獲得。2012年の前回選挙と比べると、民主派は3議席増加し、北京派がその分だけ減少した。

注目すべきは、この民主派の中には急進的な反中・独立勢力「本土派」が6人含まれていることだ。これまで議会に本土派はいなかったため、ゼロから6人への躍進だ。

香港独立の動きは中国の行方にも大きな影響を与える。現在、中国政府は香港で拡がる反政府の動きが国土全体に伝播することを恐れている。とはいえ乱暴に弾圧すると国際問題に発展する危険がある。中国政府にとって頭の痛い問題だ。

香港には多数の外国人が滞在

まず1997年にイギリスから返還されて以来の経緯を振り返っておこう。

イギリスの植民地時代、香港は中国との関係で独特の地位にあり、世界のチャイナウォッチャー(中国観察家)はここを拠点に中国情報を集めて分析しており、また、香港は中国との交流の重要な窓口にもなっていた。

経済面では、香港は返還以前からその地政学的特性を生かし、東アジアの金融と物流の一大拠点となっていた。今でも日本をはじめ各国の企業が香港に活動の拠点を置いている。そのため、香港には多数の外国人が滞在しており、たとえば在留日本人は2.7万人(2015年)であり、香港返還時より増加している。

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