イオンはダイエーを再建できるのか 丸紅からダイエー株を買い子会社化へ

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ダイエー株の大半を売却しても、丸紅とイオンの関係が切れることはないだろう。丸紅はイオンに対して年1000億円前後の商品供給を行っている。イオンのPB開発会社であるイオントップバリュに15%の出資をしており、ヒット商品となったアルコール飲料では原材料調達に密接に関与したという。

イオンと丸紅は今後協力して、首都圏で「食品スーパー連合」構想を進めていくことを明らかにしている。丸紅はダイエー以外にもスーパー3社に出資している(下表)。「株式売却はしない」(岡田大介・丸紅常務執行役員)というが、マルエツ、東武ストアの13年2月期は大幅な減益となる見通しで、業績は低迷しており、さらなる再編の火種がくすぶっている。

過半の店舗が赤字

今後のダイエーの再建はイオン1社に託される。イオンから半数の役員の派遣やトップバリュの大量供給を受け入れ、出店調整も行われる。余剰人員は「本部人員が多いが、今後、イオンはかなりの新店を予定しているので、そこに出向してもらう」と人材の再配置も行う方針だ。PBについても「(イオンとダイエーの)PBを併存させることには意味がない」と話しており、PBがトップバリュに一本化される見込みだ。

ただ、ダイエーの約200店舗(単体ベース)のうち、過半が赤字店。出店・改装からの年数が30年弱と古い店が多く、足を引っ張っている。集客力を強化するために改装を進めるにしても、赤字の店舗を閉鎖するにしても、費用がかさむため、ダイエーへの資金支援も必要になってくる。

2月の全国スーパー売上高は既存店ベースで前年同期比5.5%のマイナス。12カ月連続で前年実績を下回っており、競争環境は厳しい。ダイエーの再建は一足飛びにはいかないだろう。

(撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2013年4月6日号

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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