ユナイテッドアローズ、「虎の子喪失」の痛手 高級アクセ「クロムハーツ」を手放す理由

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東京都・南青山にある店舗「クロムハーツトーキョー」。独特の雰囲気を醸し出している(撮影:尾形文繁)

”虎の子”の高級アクセサリー事業の喪失は、セレクトショップ大手の業績にどのような影響を与えるのか――。

セレクトショップ大手のユナイテッドアローズは、米高級アクセサリー「クロムハーツ」事業の日本におけるライセンス契約を9月末で解消することを明らかにしている(発表は5月27日)。権利義務はブランド創業者であるリチャード・スターク氏とその親族が管理・運営する会社に約8年間かけて譲渡する、というスキームだ。

同事業の2015年度の売上高は前期比14%増の約114億円と好調で、ユナイテッドアローズ全体の売上高に占める割合も8%を超える。利益は非開示だが、利益率も高いという。10年以上かけて育てた“虎の子”の消失は痛手になりそうだ。

1999年からクロムハーツ商品を取り扱い

ユナイテッドアローズは1999年からクロムハーツ商品の取り扱いを開始。当時ブランドを発掘してきたコムデギャルソン関係者からの紹介を受けて始まったという。その後、ユナイテッドアローズは2006年、クロムハーツジャパン社とライセンス契約を締結。日本国内唯一の正規販売代理店で、南青山や銀座など全国の路面店や、ユナイテッドアローズの店舗で商品を販売している。

契約期限が2016年9月末に迫る中、ユナイテッドアローズの竹田光広社長は、「米クロムハーツ側と同じ条件での契約期間の延長可能性も含めて交渉を重ねてきた」と説明。クロムハーツ事業のライセンス契約継続の意向を示したが、米クロムハーツが自社管理への切り替えを強く望んだ。クロムハーツは今回の件について、「これはわれわれが誇りを持ち、クロムハーツの未来を確約してくれる、高い能力を信頼した自然の進化だ」とのコメントを発表している。

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