高すぎる市場の期待に苦しむ黒田総裁 いよいよ3、4日は日銀金融政策決定会合

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今後、株価がどうなるかはわからない。経済はどうにもならない。変わらない。しかし、今、投資家が迷っているのは動かない事実だ。だから、仕掛けられたし、今後は、一直線には上がらないだろう。

そこへ、3~4日の日銀金融政策決定会合がやってくる。

黒田東彦新総裁の、できることは何でもやる。大胆な金融緩和。これに対する期待で、円安、株高は進んできた。ここに市場と黒田氏とのギャップが生まれている。

黒田総裁はどんな行動をとるのか

黒田氏は、強い決意を持って金融緩和をするだろう。しかし、彼はまともな人だ。奇抜なスタンドプレイはしない。丁寧に熱心に説明するだけだ。金融緩和として、今後可能なものとしてあがっている緩和策を、淡々と誠実に力強くやることしかない。

そこを市場は物足りない、サプライズがない、と失望する可能性がある。今の投資心理環境でこれが起こるのがこわい。投資家はそれを知っている。そこで、このこわさを目がけて、4月1日、2日、仕掛けは「売り」できたのだ。

新年度。気分が変わって、夢から覚めた。

ここからが勝負なのだが、黒田氏は、今週、いきなり、市場とのギャップに苦しむことになるだろう。そこで黒田氏が市場に迎合せず、自分を貫くことが、今後、彼が市場を支配できるかどうかを決める。

市場に失望されても、黒田氏は信念を曲げるべきではない。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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