中国の海浜幕張、蘇州の15兆円市場を狙え 「チャイナ・ミドル」に商機アリ!

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気になる栄養バランス・食材への安全志向

――普段の食生活はどんなことに気を使っていますか?

夫:特別なことはしていないけど、サプリメントを飲んでいるよ。ほかには最近、週末の外食回数を減らしたくらいかな。外の食べ物は不衛生な気がして……。

DINKS世帯も意外とシンプルな生活ぶりだ

妻:日々の栄養バランスを考えて、肉1品、野菜1品のように献立を考えています。おコメは高いものを購入しています。高いモノがよいとは限らないけど、安いモノはきっとよくないはず。傷のある食材は買いません。ほかには健康のために自分で「阿膠ゼリー*」を作ります。(*滋養強壮、美容健康に良いとされる食品を煮詰めて作るゼリー)

美容・ファッションは「身の丈」を重視

妻:メイクアップ化粧品はあまり使いませんが、若い人が使う安い化粧品は買いません。もう30歳になるからよいものを使わないと、とは思っています。スキンケア商品は1~2カ月に1回位のペースで購入し、バーゲンのときは必ず買います。私のファッションはおしゃれだから選ぶということではなく、ごく普通のもので、安いものが中心ですね。

――現在の生活満足度はどれくらい? 今の生活を一言で表すと?

夫:65点くらいですね。仕事面で若干不安があるので、「少し先のことも見えていない状態」という感じですかね

妻:70点。「まあまあ安定しているし、さしあたって困ったこともないですしね」

彼らの話を聞くかぎり、経済成長著しい都市に住む80后中間層世帯は意外と現実的で、「現状に満足する」術を身につけているのかもしれない。限られた収入で欲しいものを買い、やりくりするにはネットショッピングを活用し、カルフールのような大型スーパーで日用品を購入するのが賢い買い物方法なのだろう。取材の写真画像からは伝わらないが、1月の厳冬季節の訪問にもかかわらず、いずれの世帯も(エアコンはあっても)暖房器具を付けず、皆ダウンジャケットを着て過ごしていた。電気代節約のため、昼間は照明も点けないのが当たり前である。

80后中間層の生の声を聞いてみると、高機能商品や高付加価値サービスを得意とする日系企業がこの中間層マーケットに入り込んでいくことは一見難しいようにも思える。

だが、ビジネスの土俵をうまく切り取るならば、健康や食品の安全品質に気を使う中間層がいることも事実である。特に子供を持つ世帯の関心は高いと思われる。

最近、中国の大気汚染、PM2.5の問題が叫ばれているが、80后の今の関心事を掴み、彼らの懐具合に見合った商品・サービスを提供できるかどうかが日系進出企業の生き残りを左右するだろう。言わずもがなではあるが、中国事業を担当している方にはぜひ現地に住む消費者の生の声を継続的に聞く機会を設け、そこから将来のビジネスのヒントを一つでも多く見つけ出していってもらいたい。

注:株式会社クロス・マーケティングと株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントは、2013年1月に中国蘇州市の中間所得層(世帯年収6万~10万元)に対して世帯訪問調査を共同で実施した。詳しくはこちら

高島 寛子 クロスマーケティング、事業開発室プロジェクトマネジャー
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