キャバクラ代の領収書でも節税できる!? すきま時間に読む、サラリーマン節税の話

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また、転勤に伴う引越し費用や交通費も「転居費」も対象になります。通勤費が会社で出ず、自己負担をしている方は、「通勤費」も対象になります。

なお、これらの経費は、先ほどみた衣服費・交際費等と異なり、経費として認められる額に上限はありません。

いまから来年の確定申告に備えよう

それでは、特定支出控除を適用するための条件を、最後に確認しておきましょう。これまで見てきた特定支出控除は、勤務先で行う年末調整では適用することができません。面倒でも確定申告を行う必要があります。また、領収書を特定支出控除の対象とするためには、勤務先に個々に証明してもらい、確定申告の際に、その証明書と領収書を添付する必要があります。

さらに一番重要なのは、特定支出控除として使えるのは、経費となる費用の合計額が一定額を超える場合の、その超える金額に限られることです。

一例として、3つの年収別に見てみましょう。諸々の領収書の合計額が以下の金額を超える場合には、その超える額を節税に使えます。

年収600万円…87万円、年収800万円…100万円、年収1000万円…110万円

たとえば年収600万円のAさんが、交際費、スーツ代計65万円、英会話教室代32万円の合計97万円を一年間で支払ったケースを考えてみましょう。

この場合、年間97万円の経費があるAさんの特定支出控除額は、97万円マイナス87万円(前述の年収600万円に対応する額)の10万円となります。

 年収600万円の税率は30%(所得税・住民税計)ですので、Aさんの節税額は10万円×30%=3万円と計算されます。この節税額を多いと思うか、少ないと思うかは、あなた次第です。でも、もともと自腹のはずだった支出で税金が返ってくるなら、やはり嬉しいですよね。

 

 

 

 
小澤 善哉 公認会計士・税理士

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おざわ ぜんや

おざわ ぜんや 公認会計士・税理士。1990年東京大学経済学部卒業。太田昭和監査法人(現、新日本有限責任監査法人)を経て1997年に小澤公認会計士事務所を開設。著書に『企業にこっそり教えるだまされないためのIFRS対策の本』『不動産保有の意味を問う』(共著、2008年社団法人、「不動産協会優秀著作奨励賞」受賞)、『図解 IFRSの不動産会計』』(以上、いずれも東洋経済新報社)、『株式投資最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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