大手学習塾3社、子どもを行かせるなら? まずは情報収集から始めよう

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難関中高一貫校に特化するエクタス

まずエクタスから。SAPIXや早稲田アカデミーと比較すると、あまりなじみのない塾かもしれない。母体は栄光ゼミナール。こちらの名前は、皆さんご存じだろう。栄光ゼミナールの中から東京御三家(男子であれば、開成、麻布、武蔵、女子であれば、桜蔭、女子学院、双葉)+筑波大学附属駒場に特化した塾である。

SAPIXや早稲田アカデミーが、東京御三家を重視はしているものの、中学受験を幅広く扱っているのに対し、授業も指導も完全に御三家+筑駒に特化する。それがエクタスの特徴だ。2013年春の実績は、在籍57名中筑波大学付属駒場に4名、男子御三家に18名、女子御三家に4名。重複はあるものの、在籍生の45.6%が東京御三家+筑波大学付属駒場に合格という素晴らしい実績を達成している塾だ。

入試報告会もこぢんまりとした手作り感にあふれる報告会で、SAPIXや早稲田アカデミーが大会場で実施するのに対し、エクタスは教室で説明を行う。先生との距離感がとても近い。説明会のアジェンダは、まず中学入試全体概況の話があり、その後、合格者の合格体験、そして教科別の入試分析と続く。

中学入試全体の概況と言っているが、東京御三家+筑波大学付属駒場にフォーカスして話をしてくれるので、ほかの塾と比較するとグッと深い話をしてくれる。非常にわかりやすい説明だ。

そして出色が、合格者の合格体験。6年生の合格者がその体験を話してくれるのだが、とても立派で感嘆する。自分の考えを理路整然と、人前でも物おじせず堂々と話をする。精神的に大人であることが見て取れ、驚きを隠せない。中学受験の国語の過去問を見るとわかるが、物語文では細かい感情の機微をとらえる問題が出されるなど、精神的に大人でなければ解けない問題が多数出題されている。やはり、合格するのはしっかりしたお子さんなんだなぁとあらためて思い知らされた。

教科別の入試分析も、それぞれの先生がユニークで、とても勉強になる。普段の授業の教える姿勢がそのまま出ている説明で、講師の方々の入試に対する思いと子どもたちに対する愛情がにじみ出ている。分析も深さとわかりやすさを両立しており、私自身も授業を受けたくなるような説明だ(笑)。

こぢんまりとしているからこそ得られる講師との身近な距離感。そして、講師が受講生一人ひとりの個性を把握し、適切な指導をできる。これがエクタスの魅力だろう。

ではSAPIX、早稲田アカデミーはどうなのか。次回はこの2つの塾の入試報告会の様子をお伝えしよう。

(撮影:尾形 文繁)

牧田 幸裕 名古屋商科大学ビジネススクール 教授

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まきた ゆきひろ / Yukihiro Makita

1970年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループなどを経て、2003年日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年信州大学大学院経済・社会政策科学研究科助教授。2007年准教授。2018年より現職。名古屋商科大学では5年連続ティーチング・アウォード受賞。著書に『デジタルマーケティングの教科書――5つの進化とフレームワーク』(東洋経済新報社)などがある。

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