トレンドマイクロ、標的型攻撃対応に照準 個人に狙いを定め侵入するサイバー攻撃が増えている

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高単価の企業向けを強化へ

同社がカスタムディフェンス以外に強化する分野は、エンドユーザー保護の徹底、クラウド&データセンターセキュリティだ。エンドユーザー保護については、データ保護・共有製品の新製品を年度後半にも投入する。クラウド分野でも下期にクラウドデータ暗号化製品の機能強化を予定している。

トレンドマイクロは依然、高い利益率は維持しているものの、足元の利益成長は停滞している。

前12年12月期は売上高938億円(11年度比2.6%減)、営業利益224億円(同15.0%減)と、対売上高営業利益率は依然20%を超しているものの、2ケタ減益を余儀なくされた。

今13年12月期については、会社は第1四半期(13年1~3月期)の見通ししか開示していないが、同期間の売上高は9%増で営業利益は0.6%増を見込む。通期でもクラウド関連の伸長などで営業利益は上向くと見ているようだ。

ただ、単価は低くても膨大なユーザーを抱える主力ソフト「ウイルスバスター」で安定的な利益は得つつも、もう少し高単価なBtoBのビジネスを強化する必要性があった。今回の事業戦略は、それに沿ったものといえる。

トレンドマイクロが推進を狙うのは、自社製品にこだわらず、他社の製品も組み合わせたソリューションであり、付加価値も高い、法人向けのビジネス。標的型サイバー攻撃の拡大という環境下で、そのニーズも高まりそうだ。

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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