旧北陸線トンネル群巡るツアーが人気のワケ

住民によるおもてなしも奏功

関西などから約600人が訪れ、トンネル群や今庄宿を巡ったウオーキングツアー=5月、福井県南越前町山中

福井県南越前町今庄と敦賀市を結ぶ旧北陸線トンネル群や同町の今庄宿を巡るツアー客が急増している。今庄地区では住民団体がボランティアガイドをしたり、特産品市場を開いたりして魅力をアピールしている。さらに広域的な観光ルートを定着させ、地域振興を目指したい。

旧北陸線は1896(明治29)年に敦賀―福井間が開業。急勾配の峠を越えるため、敦賀市から南越前町にかけて13本のトンネルが築かれた。1962(昭和37)年に現在の北陸トンネルが完成して以降は、自動車用のトンネルとして11本が現存する。一方、古くから交通の要所だった今庄地区は、江戸時代に宿場町として繁栄。現在も旧旅籠(はたご)など趣ある建物が並んでいる。

地元住民らは「鉄道」と「宿場町」の観光資源をアピールする活動を推進。今庄観光協会はトンネル群のウオーキング大会を13年前から毎年開催、NPO法人今庄旅籠塾は空き家を改修し、宿場町の景観保全に努めてきた。

まいた“種”開花

地道にまいてきた“種”が開花したきっかけは、県が旅行会社と連携して行ったバスツアー。2014年度には敦賀駅を出発してトンネル群や今庄宿、南越前町河野を巡る全12回を催行、県内外の約350人が参加した。

トンネル群は同年度、土木学会の「選奨土木遺産」に認定、16年には国登録有形文化財に登録された。これらが追い風となり、昨年度は約1300人、本年度はこれまでに約1100人のツアー客が訪問。10月上旬にも約1千人を迎える。

こうした観光客のおもてなしに力を入れているのが、同観光協会や今庄観光ボランティアガイド協会などの各種団体。バスによる案内では、トンネル内で蒸気機関車(SL)特有の「シュッシュ」という音のテープを流すなど趣向を凝らしている。

住民でつくる今庄宿プロジェクト協議会は、ツアーなどに合わせて「きとっけ今庄 宿(しゅく)の市」を開き、地元ならではの茶飯やとち餅などを提供。どら焼きやカステラなど配りやすい土産物も開発中だ。

新たな動きもある。改修中のJR今庄駅は、宿場町や鉄道をPRするコーナーを増築し、本年度中のオープンを目指す。観光案内を充実させ、土産物販売所も新設する。今庄観光協会の田中浩和副会長(48)は「いいサイクルができてきた。この波に乗ってリピーターを増やしたい」と意気込む。

今年7月には、旧北陸線敦賀―福井開通120周年を祝い、南越前町と敦賀市の住民団体が初めて連携し、トンネル群などのバスツアーや記念式典を開催した。同町は本年度、トンネル群や今庄宿をはじめ、河野や敦賀市を周遊するSL風バスを購入し、来年度から本格運用させる計画だ。

食事や宿泊場所など常時観光客を迎えられる環境整備が課題だが、広域的に観光資源をつなぐことで来訪者を増やし、さらに地域が潤う仕組みを構築したい。

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