総額100万円も!「卵子凍結」する女性の事情 「今は産めない」理由はこんなにある

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昨年の夏にスタートしたこのプロジェクトは、ガン患者の卵子や卵巣を凍結してきた実績のある菊地盤医師が担当。以前の緩慢法だと、受精卵より膜の薄い卵子は解凍後の生存率が低く、無駄だという声も大きかった。だが、ガラス化法が世界で急速に広まり、受精卵との差は少なくなっている。

この「ガラス化法」は海外でも浸透しており、米国のアップルやフェイスブックでは、卵子凍結保存を希望する女性社員に、会社がその金額補助を出すと決めたこともニュースになった。

20代で卵子凍結に踏み切ったCさん

浦安市に住む20代のCさんは、市の助成の制度ができたことで、卵子凍結に踏み切った1人。制度がなかったら卵子凍結保存には踏み切れていなかったという。

「子宮内膜症の手術を受けた時に、主治医から“妊娠はできるけれど、結婚したらすぐに不妊治療を始めて下さい”と言われ、子どもを授かりにくい体質になったことを知りました。浦安市が助成をするとニュースで知り、母から勧められたこともあって、今のうちに卵子を凍結することを考え始めました。

凍結した卵子で必ず子どもを授かれる保証はありませんが、子宮内膜症が悪化して再手術をするときには今よりさらに卵巣機能が失われます。ですから、元気な卵子を凍結できたことで将来の妊娠に希望を持てるようになりました」

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日本の自治体として初めて、この卵子凍結に助成を出すことになったのは、順天堂浦安病院の菊地盤医師と浦安市の松崎秀樹市長がタッグを組んだことが大きい。

卵子凍結の実態と課題は。自治体が助成に踏み切る意義とは。この連載では、浦安市や順天堂大学病院にも取材し、卵子凍結の現実について考えていく。

 

卵子凍結に関する読者の皆様のご意見やご経験を伺いたく、東洋経済オンラインではアンケートを行います(9月17日18時締め切り)。女性の方で20歳以上、44歳までの方が対象です。ご回答をいただいた方から抽選で30名に、Amazonギフト券1000円分をプレゼントします。アンケートサイトはこちら

 

藤村 美里 TVディレクター、ライター

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ふじむら みさと / Misato Fujimura

都立国分寺高校、早稲田大学卒業後、テレビ局入社。報道情報番組やドキュメンタリー番組でディレクターを務める。2008年に女児出産後、視点が180度変わり、児童虐待・保育問題・周産期医療・不妊医療などを母親の視点で取材。2013年に退社し、海外と東京を往復しながらフリーで仕事を続けている。Twitter @MisatoFujimura 

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