総額100万円も!「卵子凍結」する女性の事情 「今は産めない」理由はこんなにある

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「生理が遅れることはなかったし、生理不順も無かったため、“私はまだ大丈夫”と思ってしまっていました。私の世代は“生理があるうちは妊娠できる”と言われて育った世代です。“生理があるからといって全員が妊娠できるわけではない”ということを伝えたい。もっと若いうちに凍結に進むべきでした」

卵巣が弱っている場合、1回で採卵できる卵子の数も少なくなるため、複数の卵子を凍結することが難しくなってしまう。1回の採卵・凍結保存だと50万円から80万円程度の費用だが、Aさんが2回実施して採卵できた卵子はわずか3個。あと4回ほどの採卵を希望しており、総額200万円くらいを想定しているという。

こうしたケースは、あくまでも自分の卵子を自分のために凍結して取っておくということで、他人に卵子提供するという話ではない。そのため、対象となるのは、今すぐには結婚・出産することができないけれど、将来的には出産したいと考えている20代から30代の女性。この世代が集まる女子会などでは、卵子凍結が話題にのぼることも少なくない。

 最新の統計によると、体外受精で生まれている子どもは24人に1人。35歳以上でどのみち体外受精をすることになるならば、若い時に保存していた卵子を使った方が成功率が上がるという考え方もある。

今年35歳になったBさんは、この春に卵子を凍結した。身近な先輩が自分の卵子を凍結保存したと聞いたのは、34歳のとき。高齢出産に差し掛かる年齢だったこともあり、すぐに行動した。どんなことにいくら位かかるのか、詳しく教えてもらっていたが、それでも実際にやってみると予想以上の金額になった。

「実際に採卵する前の段階まででも、かなりの金額がかかることに驚きました。エコー検査や触診だけで、毎回3万円ほど。また採卵前にうまく排卵できていないなど不測の事態が発生する場合もあり、追加の処方薬や注射のための金額が新たに発生するため、不測の事態なども考慮した金額を準備しておかないと安心して臨めません」

Bさんは、1回の採卵で4個の卵子を凍結保存できた。本当はもう少し多いほうが良いと思っているため、しばらく様子を見て、もう1回くらい実施したいという。

浦安市が卵子凍結に助成金

自分の卵子を将来のために凍結しておく女性は増えているが、少なくとも50万円以上と多額な費用が必要となるため、実施できるのは高収入の女性たちに限られてしまう。

そうした中、卵子凍結に助成金を出すと決めた自治体がある。千葉県浦安市だ。順天堂大学医学部附属浦安病院の卵子凍結研究事業に対して補助金の交付を始めたのだ。病院は未受精卵子を凍結する際、浦安市民であれば手術費用の保険適用程度の自己負担で、また、採卵や3年間の凍結費用については無料とする取り組みをスタートした。

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