無効判決の波紋、「衆参ダブル選挙」も浮上 「一票の格差」の放置に、違憲判決が続出

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問題は「選挙無効」と断じるかどうかだ。混乱を招かないために「選挙有効」とするだろうという見方も根強いが、広島高裁判決のように、判決後に一定期間が過ぎれば効力が発生するという判決を出して、違憲状態の早期解消と制度改正による総選挙のやり直しを促すことも十分考えられる。

自民党には「選挙制度をどうするかは高度の政治性を有する問題。最高裁が『選挙無効』の判決を出せば、その判決が憲法違反になる」と唱える国会議員もいるらしい。とはいえ、最高裁で「選挙有効」の判決が出たとしても、国会と内閣は違憲状態解消のために早期の制度改正と新制度での総選挙実施を迫られるのは間違いない。

野田前首相は昨秋、「嘘つき」と攻撃され、負けいくさ覚悟で解散に打って出て大敗を喫したが、まさかこの総選挙が後に無効と判断されるのを見越して、早期の再選挙で雪辱を、と考えていたわけではないだろう。

だが、現実的な課題として、もしかすると今夏の衆参ダブル選挙も、という話も浮上しそうだ。

長期政権狙いの安倍首相にすれば「望むところ」かもしれないが。

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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