日本には1100万人!「ED」は死の病の前兆か 「シモの問題」で片づけるのは危険すぎる!

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そして、身体全体の血管が錆びついているなかで、微細な陰茎の血管にいちはやく症状が現れたと見るべきなのです。なぜなら、陰茎の動脈の直径は1~2ミリなのに対し、心臓付近の動脈は3~4ミリ、脳の動脈では5~7ミリあり、全身の血管の劣化が進んだ場合、最も直径の短い箇所である陰茎から異常が生じる可能性が高いからです。

つまり、EDが起こっているということは、全身の血管が錆びつき始めていると考えることが自然です。

EDは脳梗塞、狭心症の前兆?

――より深刻で大きな病気の前兆といえるようですね。

EDが進み、脳の血管が詰まれば脳梗塞になりますし、心臓の血管が詰まれば狭心症になります。

実際、脳梗塞や狭心症を起こした人に聞くと、発作を起こすだいぶ前からEDだったという人が非常に多いのです。

「ガン、心疾患、肺炎、脳血管疾患」が日本の四大死因となっていますが、このうちの2つにEDは大きく関係しているわけです。心疾患、脳血管疾患以外の、ガン、肺炎についても、血管の健康の良し悪しが治療に大きくかかわってきます。

「もう年だからEDでも仕方がない」で片づけるのは怖いことです。

しかし、逆に考えれば、EDに気づいたときに対応すれば、心筋梗塞も脳梗塞も未然に防げる可能性が高いのです。その意味ではEDは、神様がくれたありがたいサインともいえます。

――そのサインに対し、どのように対処したらいいのでしょうか?

テストステロンを高める生活改善を行うことで、自然と勃起力は高まります。テストステロンが上がると、更年期症状であるうつや頻尿の改善も期待できます。

テストステロンを上げるライフスタイルについては前々回ご説明しました。本(『うつかな?と思ったら男性更年期を疑いなさい』)でも詳しく解説しています。

しかし、自力での回復は難しいという場合は、泌尿器科やメンズヘルス外来で治療を受けたほうがいいことはいうまでもありません。

――EDに対しては、どのような治療が行われるのでしょうか?

ほとんどの場合、薬で改善します。

EDの治療薬といえば、有名なのが「バイアグラ」ですが、その後、「レビトラ」「シアリス」といった新しい薬が出てきています。

これらはいずれも勃起を補助する薬で、医学的な名称は「PDE5阻害薬」といいます。「PDE5」とは酵素の名前です。

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