ユニクロ社員が不幸になる"合理的な"理由 スタッフの足跡をたどって見えたもの

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ユニクロで働いたかつてのスタッフたちは何を思うのか(撮影:今 祥雄)
グローバルカンパニーとして高成長を続けてきたファーストリテイリング。だが一方で、そのひずみは確実に現れてきている。3年以内5割の新卒社員が辞めていく高い離職率、慢性化するサービス残業、深刻化するうつ病罹患……。
ユニクロで働くことは幸せなことなのだろうか。自身もユニクロに新卒として入社した大宮冬洋氏はかつての店舗スタッフの足跡をたどった『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』を記した。実際に働いたスタッフとして、何を感じたのか、また、スタッフその後をたどることで何が見えてきたのか。

 

全国各地のユニクロ店舗で忙しそうに働いているスタッフたち。あの人たちは幸福なのか。これからも幸せな職業生活が送れるのだろうか。

アルバイトとパート(ユニクロ用語では「準社員」)スタッフに関しては8割の確率でYES、正社員に関しては同じぐらいの割合でNO。これが1年間かけてユニクロ勤務経験者を訪ね歩いた僕の結論だ。

僕は2000年3月に新卒でユニクロ(ファーストリテイリング)に入社し、町田店(東京都町田市、2002年に閉店)と青葉台東急スクエア店(横浜市青葉区、規模を縮小して営業中)で勤務した。柳井正社長の跡を継ぐ気負いで入社したにもかかわらず、店長にすらなれぬまま、わずか1年で逃げるように辞めた。

2000年11月にオープンした大型の青葉台東急スクエア店はスタッフを100人ほど採用。社員は店長を含めて4人。新入社員の僕が30人ほどの部下を教育・指導しなければならなかった。実力不足はすぐに露呈した。

フリースブームが続く真冬に、部下からは突き上げられ、上司からは問い詰められ、朝になってもどうしても起き上がれなくなった。3日連続で遅刻して皆に嘲笑されたときは、自分の存在を消してしまいたかった。年明けに退社を決めたとき、組織の中で働くことにすっかり自信を失っていた。

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