ジェネリック大手、生産増強なぜ急ぐ 成長市場に新薬や外資系の大手も触手

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だが、日本ジェネリック製薬協会によると、12年10月~12月におけるジェネリックのシェアは、速報値で26.1%と、30%にはまだ届かない。現在、政府が作成を進めている後発医薬品普及のための新しいロードマップでは、一段と高い目標数値が掲げられる見通しだ。

そうした中、沢井製薬では、多品種少量生産というジェネリックの特徴を踏まえ、東日本大震災以降にその必要性がさらに叫ばれるようになった災害などへのリスクマネジメントも喫緊の課題と考え、既存の生産拠点との製造機械の共通化を図り、相互補完によるリスク分散体制を構築していく。

外資系などの参入をどう迎え撃つ

ジェネリック市場では、新薬メーカーや外資系メーカーによる事業強化や新規参入の動きも活発化している。

ジェネリック大手でも、日医工は海外の新薬大手サノフィ・アベンティスグループと資本業務提携を結んでおり、またテバ製薬は、後発医薬品で世界最大手のテバファーマスーティカル・インダストリーズが買収した大洋薬品工業と、興和テバが統合した会社だ。

ジェネリックの数量ベースでの拡大が続く一方、薬価については、今後も価格改定による低下が見込まれ、また参入増加などによる価格競争や購買側からの価格低下圧力が強まることも予想される。

沢井製薬としては、新工場における自動化の推進、人とモノとの動線分離や他の生産拠点も含めた生産品目の再配置なども通じて、高品質とコスト競争力の向上を図っていく。同時に製剤面での研究開発を進め、飲みやすさや識別性、調剤薬局での使いやすさなどの付加価値を追求することで、競争が激しくなる市場での差別化を強めていく構えだ。
 

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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