前途多難な中国の行政改革 国の権限移譲進めるが、「安全運転」目立ちスピード不足

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3月17日、中国の国会に相当する全国人民代表大会(以下、全人代)が閉幕した。この会議で習近平氏が国家主席に、李克強氏が首相に穏当に選出され、閣僚等、国家の要職者も確定、習近平・李克強体制が本格始動することになった。
新体制の本格始動で中国はどう変わるのか?

経済政策では「安全運転」の姿勢が顕著

今回の全人代からそれを探ろうと衆目が集まったが、経済政策に関していえば、これまでに確認された方針を踏襲し、「安全運転」を図ろうとする姿勢が顕著であった。

マクロ経済運営についてみると、2013年の実質GDP成長率の目標値は+7.5%と前年と同水準に設定された(表)。

マクロ経済運営の基本方針についても、引き続き「積極的な財政政策、中立的な金融政策」が堅持された。

財政に関しては、2013年度予算では財政赤字の規模が1兆2,000億元とされ、2012年度実績の8,000億元よりも拡大した。しかし、公共投資のさらなる加速に中国政府が踏み切ろうとしているわけではない。現に財政支出の伸びは、2012年実績の15.1%から10%に抑えられている。

しかも、医療・衛生、社会保障、環境保護といった民生分野への支出をより重視する方針で、ハコモノ建設に力点があるわけではない。サービス産業の発展を促すための減税や企業などからの各種費用徴収の削減などにより、財政収入の伸びが鈍化する一方、民生改善のための財政支出拡大で財政赤字が拡大するという構図だ。既定路線であり、サプライズの要素はない。

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