驚愕「地方財政の闇」をもう放っておけない 日本中の自治体で「粉飾決算」が行われている

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要するに、元来の債務をその決算日だけ何らかのお金を付けて、なかったことにしてしまう「完全なる粉飾決算」を繰り返しているわけです。今回の記事ではいわゆる出資法人を調査対象にしていますが、実際には夕張市はこの手法を繰り返した挙句に破綻に追い込まれており、われわれの知るところ、この手法を使っている地方自治体は少なくないはずです。

これ、どこから見ても粉飾決算以外の何物でもありません。上場企業なら役員は逮捕です。しかし、上場企業よりさらに公共性が高いはずの地方自治体で横行しているという深い闇。そしてさらに驚くのはこういう事態に対して、記事中にあるようにこの事態に際して「『(このインチキを)無理に解消すれば財政危機を招く』と消極的な自治体が多い」とされていること。

「だって粉飾しないと潰れちゃうからしょうがないでしょ!」と罪の意識を持っていない当事者のコメントが普通に出ているのです。悪いことをしているという意識が皆無なのには驚愕です。自分たちの責任を棚にあげて、潰れたら困るから粉飾決算しても仕方ないと開き直る、この公務員の倫理観の欠如はいかなるものでしょう.

加担している地方銀行の罪はもっと重い

また、今回の取材自治体は85ということですから、すべて合わせると1700にも上る自治体をすべて調査したら、いったいいくら出てくるのかわかったものではありません。良い悪いは別として、この手法自体は恐ろしいことに地方においては「スタンダード」なので、もはや日本中の地方自治体で粉飾決算が行われているといったほうが正解でしょう。

そして私に言わせると、これに加担している地元の地方銀行もさらに罪が深い。こういう粉飾が行われていることは、銀行の担当者から上層部まで全員知っているわけです。私でも知っているくらいですから、知らないとは言わせません。銀行業務は公共性の高い事業です。預金保険にしても、われわれ国民の合意の下、広く政府に支援されている。地方銀行も例外ではありません。また、都市部の預金者が元来受け取るべき預金を受け取らずに景気対策のために「負担」させられているわけです。それを地方銀行が野放図に粉飾決算の片棒を担いでいるとなれば、公共性という視点から見れば彼らも即逮捕、が筋でしょう。

さらに言えば縁故地方債など、その地方が発行する赤字補填のための債券はすべて地元の地方銀行が引き受けています。これらの法人や第3セクターの粉飾決算をやめれば、その地方銀行自体が不良債権の山を抱えることになり、困るのは自分たちということでこの負のスパイラルから抜け出せない、というわけです。まさに同じ穴のムジナ。

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