セミナーレポート

営業、マーケティング、
顧客サービスのすべてがつながる
最高のパフォーマンスを支えるサービス・オペレーション改革とは

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「ものづくり」から「ことづくり」へのシフトが始まり、製造業を含めた産業のサービス化が進む現在、カスタマーサービスは、企業にとって重要性を増している。「Customer Service Conference 2016 カスタマーサービスの近未来」では、最新のIT技術を駆使して、大きく変わろうとしているカスタマーサービスのあり方を展望するとともに、先進的な取り組み事例が紹介された。

[主催]東洋経済新報社  [特別協賛]日本マイクロソフト

基調講演
サービスの価値を高めて豊かになる

ワクコンサルティング
常務執行役員
エグゼクティブコンサルタント諏訪 良武

ワクコンサルティングの諏訪良武氏は、日本経済の中でボリュームを増すサービスを科学的に分析、その価値向上策を検討した。まず、サービスを「人や構造物が発揮する機能で、お客様の事前期待に適合するもの」と定義。提供したサービスの評価が、顧客の事前期待を上回れば顧客満足につながると説明して「ハイレベルな満足には、顧客データを活用して個別的な事前期待を満たすことが効果的」と述べた。ただし、リピートを呼ぶ顧客満足は、ビジネスの安定に資するものの、収益には直結しないとして、生産性やサービス価値の向上が重要と強調。サービスの成果による基本的機能価値以外に、サービスプロセスを磨く、共通的期待や個別的期待に応える、サービス提供者や顧客のリテラシーが向上することによる価値を意識してサービスを改善し、理にかなった価格を設定。さらに利益を出せるビジネスモデルを創造することが、永続的なビジネスの成功につながると訴えた。

スペシャルセッション
最新のテクノロジーは、
顧客サービスの世界を劇的に変えられるか?

日本マイクロソフト
デジタルアドバイザリ
サービス本部
チーフデジタルアーキテクト
丸谷 淳

デジタル変革のビジョン化、プランニング、バリューマネジメントを手掛ける日本マイクロソフトデジタルアドバイザリサービス本部の丸谷淳氏は、顧客体験価値を向上させたスペインのサッカークラブ、レアル・マドリードの成功事例を紹介。オンライン購買履歴収集、ビデオ配信、マルチデバイス対応アプリ提供、アプリによるファン行動分析を行ない、4.5億人のファンとのつながりを強化した取り組みを説明した。

日本マイクロソフト
Dynamicsビジネス統括本部
Dynamicsソリューション技術部
テクノロジーソリューション
プロフェッショナル
濱村 五郎

日本マイクロソフトDynamicsビジネス統括本部の濱村五郎氏は、モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの登場によるデジタル化で、ビジネストランスフォーメーションが加速すると指摘。顧客サービス業務などに対して、機械学習・AI、IoT連携ハブなどの最新技術のサービスを一つのプラットフォーム上で提供できる同社サービス『Dynamics 365』(2016年秋リリース予定)を紹介した。コールセンターの通話音声をテキストに変換・要約を保存したり、通話中のキーワードから関連FAQを表示するシステム、社外のSNSなどから収集したデータと社内の顧客情報をまとめて単一画面で表示するプラットフォームなど、同社が実現しようとしている技術についても言及した。

ケーススタディI
国内製造業のサービス事情と
最新技術で実現する保守メンテナンス業務

日立ソリューションズ
産業イノベーション事業部
産業ソリューション本部第4部
主任技師
江角 忠士

日立ソリューションズの江角忠士氏は、製造業の保守サービス部門の課題について「サービスの品質を維持しながら効率化・コスト削減するとともに、新ビジネス創出や売り上げ伸長への貢献も求められています」と語った。

前者の課題解決には、保守作業内容や部品をパッケージ化して指示をまとめたり、適切なスキルを持った近くの保守要員を最適にデリバリするシステム、後者には、現場に入った保守要員だから知り得る有用な情報を、営業などと社内共有するシステムが役立つ可能性を示した。

設備のセンサーデータを分析して能動的保守サービスを実現するIoTの可能性にも触れた江角氏は「サービスエンジニアとテクノロジーを組み合わせれば、より高付加価値のサービスを実現できます」と訴えた。

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