「書を捨て、町に出よ」はおかしくないか?

読書と実務の正しいバランス

戦略コンサルタントを経て、現在、会津のバス会社の再建を手掛ける著者が、企業再生のリアルな日常を描く。「バス会社の収益構造」といった堅い話から、 「どのようにドライバーのやる気をかき立てるのか?」といった泥臭い話まで、論理と感情を織り交ぜたストーリーを描いていく。
本を読むのと、経験を積むのと、どちらが仕事に活きるのか?(撮影:尾形文繁)

書生論に意味はないのか

先日、ある若手ビジネスパーソン向けのセミナーで、「書を捨てよ、町に出よう」という寺山修司の言葉を引き合いに、実務経験の重要さを訴える講演を耳にする機会がありました。

「町に出る」重要性は私も大いに首肯するところがあり、個人的にはとても満足して会場を後にしました。

そこまではよかったのですが、その後セミナーのアンケートを見る機会があり、印象がかなり変わりました。

アンケートでは「勉強している暇があったら、とにかく外に出ます!」とか「書生論を振りかざしても意味はなく、まずはいろいろな経験を積むことで頑張ります」といった内容で大勢が形成されていました。

そのアンケートの別の設問に読書量や勉強量を問うものがあったのですが、いずれの時間量もとても少なく(というかほとんどなく)、そのような内容と併せてみたときに「これは何かが間違っているのではないか」と強く感じました。

自分が普段、平均年齢が50歳を超える職場にいて、思考が年寄りくさくなっているのかもしれません。今の若者は……という中高年特有の加齢臭がにじみ出てきたのかもしれません。でも、その辺の予断も覚悟しつつ思い切って言うと、「そもそも勉強もしていないのに、いきなり外に出て何がわかるんだ」と、強く感じた次第です。

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