iPhoneが日本でシェアトップなワケ 日本人はアップルが大好き

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日本におけるアップル商品の人気ぶりは、決算にも表れている。昨年10~12月の日本での売り上げは前年同期比で92.4%増を記録した。最大市場である北米は14.8%増にすぎない。伸び盛りのはずのアジアパシフィックでさえ40.6%増だ。日本の好調ぶりが際立っていることがわかるだろう(=グラフ参照=)。

北米ではアップルは主要4キャリアであるAT&Tワイヤレス、ベライゾンワイヤレス、スプリント・ネクステル、Tモービルのうち、Tモービルを除くトップ3社がiPhoneを扱っている。アップルはシェアトップを保っているが、サムスン電子のアンドロイド機「ギャラクシーS」シリーズの猛追を受けている。

欧州は、主要国においてサムスンがシェアトップの存在だ。一方、日本市場においては、サムスンはトップ5にさえ姿を見せない。アップルの人気が高いだけでなく、サムスンの販売力が驚くほど弱いことも、欧米市場とは異なる日本の特徴だ。つまり、日本でiPhoneがトップシェアを謳歌できるワケは、「サムスンが弱いから」と説明することもできる。

ブランド調査でもアップル人気変わらず

消費者へのアンケート調査でも「日本人のアップル好き」は表れている。日経BPコンサルティングが12年11月~13年1月に6万人に対し実施し、3月22日に結果を発表した「ブランド・ジャパン2013」において、アップルは「消費者が選んだブランド」の1位だった。12年の調査でも1位を記録しており、外資系ブランドでは初の2年連続のトップだ。「ビジネスパーソンが選んだブランド」としても、トヨタ自動車に次ぐ2位だった。

13年に入ると、ドコモはソニーの「エクスペリアZ」、パナソニックの「エルーガX」など大画面のスマートフォンを投入した。こうした最新のアンドロイド機が伸びていくことにより、一時的にアップルのシェアは降下している。しかし、消費者はアップルブランドを高く評価しているため、大崩れすることはないだろう。それよりも、次期iPhoneからはドコモが取り扱いを始める可能性が高く、13年をトータルで見れば、12年以上にアップルがシェアを伸ばす可能性もある。

アップルの強敵は、ソニーでもパナソニックでもなく、サムスンだ。そのサムスンが弱い日本市場は、米国以上にアップルにとっての「ホームグラウンド」と言ってもいい市場なのかもしれない。

(撮影:風間 仁一郎)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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