くら寿司、「シャリコーラ」人気沸騰の舞台裏 甘酒ベースの炭酸飲料は何がスゴイのか

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くら寿司が生んだ、カルピスのような白濁色の「シャリコーラ」。2週間で10万本以上を売り上げ、供給不足で嬉しい悲鳴となった

「こんなに売れるとは思わなかった」――。8月中旬、回転寿司大手「くら寿司」を展開するくらコーポレーションの社内で、嬉しい悲鳴があがった。

同社が7月29日に発売した「シャリコーラ」は、甘酒をベースにした炭酸飲料で、カルピスのような白濁色が特徴的だ。当初は発売後6カ月間で100万本の販売計画だった。ところが、発売と同時に人気が沸騰し、2週間で10万本を超える売り上げに。想定以上の需要に生産が追いつかず、くら寿司は一時販売休止を余儀なくされたのだ。

回転寿司店の書き入れ時である、お盆を前にした8月12日に品切れとなる、まさかの事態である。店頭のメニュー表には「只今、お取り扱いしておりません」の札が貼られた。

委託した京都の酒屋の生産能力が限界に

シャリコーラは、米麹を使った甘酒のような風味に、炭酸の爽やかさと米の香りを感じさせる商品で、子供から大人まで幅広い顧客に受け入れられたことが人気の要因となった。体内では合成できない9種類の必須アミノ酸を含み、夏バテ予防や美容、疲労回復効果が期待できることを、くら寿司が訴求したことも奏功した。

年間2000種類以上ものメニューを試作し、数多くの新製品を出すくら寿司が、事前想定を超えるヒット商品を生み出すことは、珍しいことではない。ただ、今回は、急な量産に対応できない製造面の問題が足かせとなった。

甘酒には酒粕から作るものと、アルコールを全く含まない米麹から作るものがあるが、シャリコーラはアルコール飲料でないこともあり、手間のかかる米麹から甘酒をつくる製造方法を採用。また、製造を委託した京都府内の酒屋も、貯蔵タンクをひとつしか備えておらず、需要急増に追いつく体制が整っていなかった。

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