米ホテル大手、ドバイ“臨時本社”の皮算用 スターウッド、幹部200人そっくり移転

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ドバイには地の利もある。世界人口の3分の2に対して8時間以内でアクセスできる交通の要所であり、先進国と新興国、あるいはアジアとヨーロッパの文化圏をつなぐグローバルな玄関口でもある。

スターウッドでは今回の本社機能移転を機に、アラブ首長国連邦で働くホテル従業員や顧客、オーナーやデベロッパー候補とも、トップが直接会うほか、近隣の成長市場であるムンバイ(インド)、アディスアベバ(エチオピア)、ジェッダ(サウジアラビア)、ドゥシャンベ(タジキスタン)、クウェートなどへも精力的に出張する予定。12年度決算についての株主総会も、ドバイで開催するという熱の入れようだ。

戦国時代、織田信長は東海や北陸から京都へ向かう街道の結節点として滋賀県・安土に注目。地元の名古屋地域から離れ、安土に居城を構えて天下を目指した。地球儀を回してグローバル戦略を練るトップの目には、ドバイが国際ホテルマーケットの“安土”と映ったかもしれない。

ローソンも一時狙った「海外長期滞在でトップセールス」

グローバル展開を目指す企業で、トップや役員の一部が海外の重点都市に長期間滞在し、トップセールスを行う、というケースは決して少なくない。ただ、200人にも上る幹部がいっせいに移動するといった例はあまりない。

しかし、スターウッドにとっては、今回の“本社移動”は2度目である。「現地セールスもさることながら、地元の従業員の士気に与えた影響は計り知れない」と橋本氏は説明する。

2011年にはやはり約1カ月間、本社機能を上海へ移転している。その翌年の12年には、同地域に25軒の系列ホテルがオープンし、中華圏からの予約は2ケタ増えた。

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