米国人が魚の「産地」に関心を持つ日は来るか

水産物のトレーサビリティに挑む米企業

レッズ・ベストの創業者、ジャレッド・アウアーバック氏(写真左)は、ITを駆使して水産物のトレーサビリティ向上に挑もうとしている(写真:Kieran Kesner/The New York Times)

ボストンの水産会社レッズ・ベストの創業者、ジャレッド・アウアーバックに言わせれば「データ管理に魅力を感じる人なんてまずいない」。そしてデータ管理と漁業のイメージが結びつく人もまずいない。だが、食べる魚がどこでどのように水揚げされているのか消費者から見えにくいという米国の現状に、アウアーバックら一部の水産業界の起業家たちはITを駆使して一石を投じようとしている。

水揚げされた魚介類は、複雑な経路をたどってから食卓に上る。だが米国ではこれまで、メイン州のロブスターやメリーランド州のカニ、メキシコ湾のエビといった名産品を除くと、自分たちの口に入る物の来歴にうるさい人々でさえ魚の産地には無関心だった。

自分が口にしているものが何という魚なのかさえ

またレストランでも最近まで、魚の産地について客がくどくど尋ねるといったことはほとんどなかった。だからレストランも小売業者も、情報提供の必要性を感じることはなかったわけだ。

これまで店頭に並ぶ魚のほとんどは「どれも同じような切り身パック」としか認識されてこなかったと、国際海洋保全団体オセアナで海産物の偽装防止に取り組むベス・ローウェルは言う。「シーフードはトレーサビリティにおいても情報の透明性においても、時代に置き去りにされていた」

さらに問題なのは、自分が口にしているものが何か、消費者は分かっているつもりで分かっていないということだ。

オセアナでは先ごろ、レストランや魚市場、寿司店や食料品店から入手した魚のDNAテストを行い、表示偽装の有無を調査した。その結果、33%で国のガイドラインでは認められていない表示が行われていたという。たとえばフエダイやマグロとして売られていたものが、それとは似ても似つかない魚だったりしたわけだ。

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