萩野公介を育てた男が語る「指導者の気構え」

謙虚な心を持ち、固定観念をみずから崩せ

萩野選手の大活躍は日本のメダルラッシュに勢いをつけた(写真:picture alliance/アフロ)
リオ五輪で萩野公介選手に金メダルを、星奈津美選手に銅メダルをもたらした競泳日本代表ヘッドコーチ平井伯昌の著書『見抜く力 夢を叶えるコーチング』。子育てや部下への指導に悩むすべての人に読んでほしい。人は誰でも伸びる。すべては指導者次第なのだ。

「どんな指導をしたんですか?」

「どうすればオリンピック選手が育つんですか?」

最近になって、そんな質問を受ける機会が多くなった。

私がコーチを担当している北島康介、中村礼子、上田春佳という三人の選手が、そろって北京オリンピックの代表選手として出場したからである。

ご存じのとおり、康介は一〇〇メートルと二〇〇メートルの平泳ぎで、アテネにつづき二大会連続の金メダルを獲得した。また、礼子も二〇〇メートル背泳ぎで、同じように二大会連続の銅メダルを手にした。

春佳に関しては残念ながら決勝進出はならなかったが、二〇〇メートル自由形の予選では日本新記録のタイムで泳ぎきった。

それぞれの選手が、それぞれにベストをつくした結果だと思う。

人間性を把握し、本質を見抜く

コーチとして、私が指導をするときに気をつけているのは、何よりも選手自身の人間性を把握し、本質を見抜くということ。それがいちばんの原点だと考えている。

それができていないと、それぞれの選手に対応することもできないし、お互いの信頼関係も築くことができない。それができて初めて、きつい練習にも耐えることができるし、困難なハードルを乗り越えることもできる。オリンピック、という共通の夢に向かって闘えるのである。

だが、オリンピックで世界の頂点に立つことだけが、最終目標では決してない。速い選手や、記録に挑戦できる選手を育てることだけが、コーチの役割ではないのだ。

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