「プリウスPHV」最新進化は一体何がスゴいか トヨタの次世代を担うエコカーを早速解剖

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新型から急速充電に対応するようになった。加えて、200Vでは、充電器の高性能化で2時間20分に充電時間を短縮。専用工事が不要な100V/6Aでは、壁にあるコンセントから普通に充電できる。充電場所を選ばないPHVであり、電力使いきっても、エンジンで発電できるバッテリーチャージモードが備わる。災害時の外部給電にも対応し、電池のみでは3時間/1500W可能、HV給電モードでは1500W/2日供給可能だ

一方で、先代の『プリウスPHV』はHVモデルとの差別化が明確ではなかったため、販売台数が伸び悩みました。今回、新型『プリウスPHV』を世に送り出すにあたっては、先代の2倍の距離のEV走行ができる環境性能はもちろんですが、ひと目でPHVとわかるスタイリングに加えて、走行性能の増強にも力を注ぎました」

新型プリウスPHVはハイブリッドとしての燃費は37km/Lと、ほぼベースのプリウスと同等でありながら、電池を100kgも多く積んで、EV走行できる距離を60kmまで延長した。

発売前なので、EV走行を含めた燃費測定値も未発表だが、少なくともハイブリッドの「プリウス」を越える環境性能は約束されている。そのためにはパワートレインだけではなく、ガスインジェクション付きヒートポンプをエアコンに採用したり、冬でもバッテリー性能を引き出すために昇温システムを搭載したり、と細部に至るまで効率を高めている。

そろそろエコカーでも個性を発揮する時代だ

加えて、プリプロダクション・モデルを試乗した印象から、デュアルモータードライブシステムの導入とベース車でトヨタが初採用したグローバル・プラットホーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の低重心設計により、カーブが続くような道でも、高速で加速するようなシーンでも、自分で操れる楽しさを持つクルマになっている。

コストを抑えるためにプリウスとの共通化を徹底的に行ったというが、トヨタ初のアダプティブハイビームシステムを採用したLEDランプやカーボン複合材まで活用して、スタイリングの印象を変化させて、HVと別のモデルとしてのPHVの存在感も増している。

デザインにしても、走りっぷりにしても、個性的ではあるため、好き嫌いもあるだろう。だが、エコカーといえば、多少の我慢を強いる上に、走りもイマイチというイメージから脱却して、そろそろ、エコカーでも個性を主張する時代になったのは間違いない。新型プリウスPHVは、そう実感させるだけの個性を放っている。

川端 由美 モータージャーナリスト
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