米利上げの意味は8年相場の終焉か新相場か 今週の日本株は買い先行、上値挑戦にも期待

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現在の日本株式市場は日銀のETF買いが重要な株価決定要因になっている。23日(火)に日銀のETF買いが入ったかと思われる場面があったが、買いは入っていなかった。25日(木)も同じような感じがあったが、その後の動きや売買代金1兆7000億円と言う閑散状態を考えると、23日と同じく買いが入っていないと判断されたが、この25日は買っていた。23日は買わず25日に買った違いは何だったのか。

よく言われるのが、前引けのマイナス度。23日の前引けは1万6561円02銭で前日(1万6598円19銭)比マイナス0.23%、25日のそれはマイナス0.26%だった。結果、マイナス0.23%では「なし」で、マイナス0.26%では「あり」ということになる。もう一つ言われるのが、前場安値からの戻り度も考えられているとの説。前場安値を付けた後、23日は前日比マイナス0.13%まで戻ったが、25日はマイナス0.18%までしか戻らなかった。戻り度合いを考えると、マイナス0.13%では「なし(戻り過ぎ?)」でマイナス0.18%では「あり」。どこかのテレビ番組のクイズのようだ。

神経質な流れは簡単に変わらないが

26日の前場はマイナス0.65%で、これは間違いなく日銀の買いが入るシグナル。後場高が期待されたが、逆にこの日は200円近い下げになった。ジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演のほうが重要と判断された。日銀ETF買いの下支え効果も限度があるということだ。それは当然のこと。日銀の買いはPKO(株価維持・買い支え)ではないということを指摘したい。このETF買いは異次元緩和の重要なツールのひとつに過ぎず、株式市場を通して世の中に流動性(おカネ)を供給しているだけなのだ。

1960年代の共同証券や保有組合は下値を支えるという明確な目的があった。したがって、株価が上がれば売ってくる。その解消売りで相場は10年ダメだと当時は言われていた。今回は株価が上がっても日銀は売って来ない。今後景気が過熱化して、引き締め政策が必要になった時に、引き締め手段のひとつとして活用されるまでだ。

さて今週の相場だが、多くの高官タカ派発言にもかかわらず100円台を抜け出せなかったドル円が、イエレンFRB議長の講演後、なんと101円80銭となっている。今週は買い先行で始まるだろう。週末の雇用統計を材料に、神経質な流れは簡単には変わらないと思うが、上値トライも期待出来る。株を売ってもその資金の置き場所が見当たらない(筆者観)。今週の日経平均予想レンジは1万6300円―1万7200円。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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