「奴はできる」と評価される人の"言葉の選択" 「アピールする内容」を間違っていませんか?

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自分が少なくない人数の部門の管理職になった時は、リーマンショックの影響でリストラがかなり行われた時期でした。この時に実感したのは、自分の部門やメンバーがどれだけ成果を出しているかを日頃から「見えるように」しておくことがいかに大切かということでした。

自部門の価値や成果が認められなければ、それこそ“お家お取り潰し”になってしまうのです。粛々と仕事をするのはもちろん大切ですが、目に見える成果にこだわり、伝えていくことはキャリアを形成するうえでとても重要なことなのです。

では、成果とはどのように伝えたら効果的なのでしょうか? そのためには「成果」とは何かをきちんと理解する必要があります。

アウトプット=成果ではない

作成した資料や、調査結果、営業の数値実績など、仕事を通じて出てきたものを「アウトプット」と言いますね。勘違いされやすいのですが、アウトプット=成果ではありません。では英語で成果のことを何というかというと、「アウトカム」という言い方をします。違いを明確にしてみましょう。

アウトプット=仕事を通じて実際に作り出したもの

アウトカム=作り出したものによって発生した効果やよい状態

例を挙げてみると、業務の品質向上のために作成したマニュアルがアウトプット、マニュアルの活用によって生まれたミスの減少や処理速度の向上がアウトカムということになります。

こう書くと、そりゃそうでしょと思う方も大勢いると思うのですが、「当プロジェクトの成果」として発表されるのは、実際にやったこと、つまりアウトプットが延々と述べられていることが多いのです。人は自分がやったことに対して思い入れもありますから、やり遂げたこと=すごいこと=成果となってしまいがちです。

残念ながら、それだけでは成果を報告される相手も何がよいのかが実感できません。もちろん、アウトカムがまだ出ていないタイミングの場合もありますが、その場合でも、見込まれる成果として明示すべきでしょう。

このように、伝えるべきことを取り違えないためにはどうすればいいでしょうか? 実はごくシンプルな問いかけで、きちんととらえることができます。「これは誰にとって、どれくらいよいことがあったのか?」という問いへの答えを考えればよいのです。

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