(第7回)「採用目線」から行う就職活動(年明け編)

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【年明けの採用目線】

・リクルーターとの接触

 年が明けると企業の採用活動は人的なコミュニケーションが増大し、一気に活気づく。その理由は、就職ナビからのエントリー数はあるものの、人事部側もエントリーした学生が本当に受ける気があるのか、という確信がつかめていないからだ。
 年明け早々の時点、多くの企業はまだエントリー数に対する本気度の手応えはない。そこで、その本気度を確かめるために開催されるのが、自社で実施する説明会やセミナーである。企業としては、この場所に来た人は「当社に対して一定以上の本気度あり」と、ここでようやく確信らしきものを持つ。

 おおまかな流れとして、リクルーターが対応するのは、理系や一部重点大学を除けば、この説明会やセミナーに参加した学生が対象となることが多い。リクルーターについては、「俺が押せば大丈夫、安心しろ」と内々定を匂わす約束ができるほどの権限は持っていないとはいえ、この時点で接触した内容は人事部に届くと考えるくらいの緊張感を持った方がよいし、事実、届くことも少なくないと認識すべきだろう。
 リクルーターに与えられたミッションは、大きく二つ。一つ目は挨拶や自己紹介などの基本的な礼儀とコミュニケーション能力などの観察、接触時点での志望度合いの確認や競合他社の進捗確認も含まれている。  そして、もうひとつは学生の相談相手としての役割だ。先輩社員が自ら「メンター」を名乗れば、ほぼ間違いなく後者のミッションに比重が置かれていると考えてよい。

 いずれにしろ、失礼な振る舞いはご法度だが、人気企業であっても媚びて気に入られようとする必要はない。大切なことは、社会人がコミュニケーションをしても違和感を覚えないほど、あなた自身がひとりの大人として向き合えるかどうかが重要なのだ。年内に準備してきた社会人のものの見方がモノを言う局面は年明け早々から2月頃にやってくると想定しておこう。

・エントリーシート(ES)の合否

 大手・人気企業では実質的な一次選考にあたるのがES(エントリーシート)だが、「採用目線」で見るとこの書類のもつ意味は大きい。
 なぜなら、ESは学生にとっても、就職ナビを使っていたプレエントリーとは比較にならない労力が求められるからだ。このような皆さんの労力は、ESの提出を義務付けている企業にとっても本番の選考母集団に直接つながることを意味するのだ。

 さて、ここでひとつの疑問に答えておこう。「人気企業の場合、何万枚も届くESを読んでいないでしょう?」と思っているあなた。多くの採用担当者に代わってお答えしておくと「そんなことはありません」だ。事実、筆者が知っている大手・有名企業の採用担当者は、涙ぐましい努力をしながらも時間を捻出し、人事部内で手分けをしてすべてのESを読んでいる。

 ESを評価するポイントは企業によって異なるので一概には言えないが、一例をあげれば「学生時代に頑張ったことや取り組んだこと」という記述項目があれば、企業が見たい本質とは「頑張りや取り組みをとおして、どのような困難を突破して何を成し遂げたか」ということがほとんどだ。

 ESの表現手段である文章については、その巧拙もあるが、それだけを見るものではないと考えた方がいい。楽屋落ちの話で恐縮だが、筆者はある人気企業の内定者数人を取材した際に、彼らのESを見たことがある。ESについては文章としても特段上手なものでも、洗練されたものでもなかった。細かいことを言えば、単純な誤字(変換ミス)もあるくらい、つまり突っ込み所は満載のESだったわけなので、特に文才がなくても心配をすることはないと言える。要は中身であり、「頑張りや取り組みをとおして、どのような困難を突破して何を成し遂げたか」がそこに書かれているかどうかである。

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