急成長するO2Oインフラ、LINEの凄味 4500万人の消費者と店舗をつなぐ

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「フェイスブックのようにたまたま気づいた時に、クーポンを受けとるのではない。“11時55分に”ランチのクーポンがくる。このリアルタイム性は、利用者が動く秘訣だ。LINEの利用者は、友だちからのメッセージが来たら読むという行動習慣がある。企業のメッセージが来ても同じように読むという下地ができている」(出澤氏)

今、既存の広告・販促手段では、若年層を中心とした消費者に情報を届けるのが難しくなってきている。そこに届けることができるのがLINE。各企業が月額350万円以上のコストをかけてでもLINEを選んでいる。

消費者が自ら好きな企業や店舗を選び、メッセージを受け取る。消費者は、感情ひとつで簡単にブロック(拒否)もできる。企業側は、興味・関心を持ってくれている消費者に対してだからこそ直接メッセージを配信できる。その結果、消費者が実際にLINEから店舗へ足を運ぶことが実績となって表れた。

あくまでLINEの3つのコンセプト「スマホに特化」「コミュニケーションの質がクローズド」「エモーション(感情)のやり取り」に共感している利用者に親和性が高く、負荷をかけない形で広告の情報を入れていくにはどうしたらいいのか。突き詰めた結果が“O2O”だった。

次回は、LINEの低価格版O2OサービスであるLINE@に、よりフォーカスを当てる。LINEが狙うのは大企業だけでない。中小企業や地方の事業者にもサービスを拡大し、本格的にO2Oインフラを狙っているのだ。

(撮影:梅谷秀司)

 

 

 

 

 

 

 

過去の連載が本になりました。『O2O新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社)として発売中。Kindle版などの電子書籍も展開開始。

 

松浦 由美子 ITアナリスト

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まつうら ゆみこ / Yumiko Matsuura

ITアナリスト。

ITエンジニアとして半導体ウェハ検査装置の開発や原子力・ETCなどのインフラ制御系システムの開発、大手印刷会社のIT技術センター部門でセキュリティ関連のサービスや画像情報データベース、地図情報サービスなどのWeb開発に携わる。現在は、「ITからリアル世界への翻訳者」として、テクニカルな話題を一般読者にわかりやすく解説することをモットーに活動中。

著書に『O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社、 2012.10)、『O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!- ネットとリアル店舗連携の最前線』(平凡社新書、2014.1)、東洋経済オンラインにて「O2O ビジネス最前線」を連載中。

テレビのニュース番組やラジオ、講演など「O2O」に関する出演多数。
連絡先:松浦由美子公式ページ

 

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