東京海上の「超保険」が売れに売れる理由 被災地や地震リスクが高い地域で、抜群の実績

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いまではしっかり利益をかせぐ商品に(超保険推進グループ)

抜本改革をきっかけに、販売件数も飛躍的に増加した。発売から9年目に当たる11年6月末には保有契約が100万世帯に到達。13年4~5月には150万世帯に届く勢いだ。

「抜本改革」以前は販売実績がなかなか伸びず、赤字が続いた。東京海上日動の社内では「存廃の議論もあった」(野地俊典営業開発部部長兼専業・超保険グループリーダー)というが、今では「しっかりと利益を稼いでいる」(野地氏)という。

ブレイクスルーを実現するうえで大きな役割を発揮したのが、コンサルティング営業にとって不可欠なコンピュータ端末の進歩やシステム面の改善だ。東京海上では超保険のコンサルティングツールとして新たにタブレット端末を導入(冒頭の写真)。画面のビジュアル化や操作性の改善が図られた。商品内容の提案は今までよりもスピーディになり、申し込み手続きが画面上でできるようになった。

インターネット販売の自動車保険などとの厳しい競争が続く損保大手にとって、会社の屋台骨である専業代理店の活性化は焦眉の課題だ。少子高齢化や単身世帯の増加も、専業代理店の存続を脅かしている。だからこそ、専業代理店が超保険に期待するところは大きい。

被災地の再生に取り組む

「世帯を深掘りできる超保険はすばらしい商品。反面、販売するうえでは、ご家族全体を受け止める責任を伴う」と森社長は語る。

震災直後に襲った大津波で、森社長は旧本社など所有する5つの不動産のうち3つを失った。自動車3台もすべて流された。それでも「ほかに道はない」(森社長)との思いから保険代理店として再起を決意。保険金を一日でも早く払うために奔走した。当初、知人の保険代理店が仮事務所のスペースを提供してくれた。

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