V字回復のフラガール、「八重の桜」とコラボ 新型石炭火力IGCC稼働も追い風

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関係深い常磐共同火力が「IGCC」を商用化

その常磐共同火力が4月から、次世代の火力発電とも目される「IGCC(石炭ガス化複合発電)」の商用運転を開始する。IGCCはもともと、電力会社などが出資するクリーンコールパワー研究所が、常磐共同火力の勿来(なこそ)発電所内で2007年から実証試験を行ってきた。

ボイラー内で石炭を固体のまま燃焼させる従来型石炭火力に比べ、IGCCではガス炉内で石炭をガス化して発電することから、発電効率が高く、発電電力量当たりのSOx、NOx、煤塵(ばいじん)の排出量を低減できることなどが大きなメリットだ。

勿来発電所内におけるIGCCの実証試験研究は3月で終了。4月からは常磐共同火力が、クリーンコールパワー研究所を吸収合併したうえで、IGCC発電設備を商用運転していくことになる。実証試験に比べれば商用運転のほうが石炭消費量が増えるため、「常磐共同火力への石炭供給は増える」と会社側では見ている。

中期計画の目標を今期は大幅クリア、来期は復配も

震災からの業績復興を目指して、常磐興産が11年11月に策定した新中期経営計画では、今13年3月期は売上高391億円、営業利益1.8億円、最終損益が8.4億円の赤字と控えめな目標を掲げていた。

が、この春休みの順調な集客状況も反映したうえで、会社側が3月上旬に発表した最新の見通しによれば、今期の売上高は471億円、営業利益は16億円。最終利益に至っては震災復興関連の補助金が特別利益として計上されることもあり、過去最高だった1989年3月期の16.2億円を上回る19.7億円が見込まれている。

なお、新中期経営計画によれば、来14年3月期の経営目標は、売上高472億円、営業利益20.6億円。本業の観光事業の好調に加え、第2の柱である卸売事業も石炭販売を中心に好調が見込まれるため、中期計画目標達成の確度が高まっている。

中期計画では、最終利益については11.4億円と今のところ特別利益を見込んでいないが、東京電力から福島第一原発事故の風評被害に対する補償金が支払われた場合、最終利益が膨らむ可能性もある。また、常磐興産は震災を受けて前々期の11年3月期から無配に転落したが、来期は復配の公算もありそうだ。
 

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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