夜、何度もトイレに起きる男は早死にする!? 急増する「男性更年期」の権威が警告

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――どのように対処すればいいのでしょうか?

1つの目安として、40代で夜2回起きる場合は、すぐに泌尿器科やメンズヘルス外来で検査を受けることをお勧めします。

50代で、夜、おしっこのために2回目が覚めるようになったら、やはり要注意です。

60代以上の場合は、夜3回起きるなら、徹底的に検査を受けるべきです。

前回、お話ししたような男性更年期(男性ホルモン不足)により頻尿になっている可能性が高いといえます。また、前立腺肥大症などにより頻尿になるケースもありますし、糖尿病や心臓など、何らかの生活習慣病の危険性もあるので注意が必要です。

「おしっこの回数」と男性ホルモンの関係

――男性更年期は、頻尿とも大きな関係あるのですね。

実は、この「おしっこの回数」というのは、男性ホルモン「テストステロン」と大いに関係しています。

男性更年期(LOH症候群)によりテストステロンが下がると、バソプレシンという、おしっこを濃縮するホルモンが減ってきます。すると夜中に何度もトイレに起きることになってしまうわけです。

また、テストステロンが下がることによってNO(一酸化窒素)が減ると、膀胱の柔軟性がなくなってしまい、おしっこを多く貯められなくなります。当然、これも頻尿の原因となります。

つまり、テストステロンの低い人ほど夜に何度もトイレに行くことになるのです。そしてテストステロンやNOが低いことが、寿命の短さにもつながっているのだと思います。

――前回のうつ症状と同様、頻尿についても、テストステロンを増やすことが大切なのですね。

男性更年期に伴う男性ホルモン不足により頻尿になっている場合は、テストステロンを上げると、頻尿は改善します。テストステロンを上げるライフスタイルや治療法については前回ご説明しましたので、そちらもご覧ください。

しかし、やはり自力での回復は難しいという場合は、泌尿器科やメンズヘルス外来など、医療機関で治療を行ったほうがいいことはいうまでもありません。

健康寿命を維持し、ほかの更年期症状を解決するためにも、「たかが、おしっこの問題」と思わずにきちんと対処することが大切です。

堀江 重郎 順天堂大学医学部教授

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ほりえ しげお

順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科外科教授。泌尿器科医。医学博士。日本Men's Health医学会理事長。1960年生まれ。85年東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、泌尿器がんの根治手術と男性医学を専門とする。すべての男性を元気にする医学を研究している。
一般向けの著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館)、『ヤル気が出る!最強の男性医療』(文藝春秋)などがある

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