女性が陥りがちな「遠回りの罠」 「総合職だけどいい人」を目指した、三菱商事時代

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男女雇用機会均等法の施行から27年が経ち、ビジネス界で女性と男性が競うのは当たり前になりつつある。しかし、他の先進国と比べると、日本の女性管理職の比率は低いままだ。「なぜ女性は出世できないのか」「どうすれば女性は出世できるのか」――。『抜擢される人の人脈力』の著者である岡島悦子プロノバ社長が、自らの半生やヘッドハンターとしての経験を基に、 出世のために知っておくべき掟をつづる。

今回から数回にわたって、私の経歴を事例として使いながら、女性ビジネスパーソンが陥りやすい罠について、お話ししていきたいと思います。

私の周囲で活躍している女性の方々を見ても、多かれ少なかれ同じような「遠回りの罠」を経験している方が多いようです。変化のスピードが速く、競争も激化している「これから」を生きる妹世代の方々には、「仕事も子育ても」を勝ち取るためにも「早回しのキャリア」を獲得できるといいなと思うためです。

意思決定者の多様化による競争力向上の文脈での女性管理職割合向上の阻害要因には、経営者や組織の問題、国や行政の問題も、もちろん存在しています。しかしながら、働く女性側の意識、いわゆるマインドセットの要因も、非常に大きいのではないかと思います。このマインドセットについては、「知っていたら変えられるもの」のひとつではないかと思うため、「遠回りの罠」の事例をご紹介する次第です。

商社の女性採用はわずか3名だった

1985年、私は帰国子女入試で筑波大学の国際関係学類に入学しました。大学時代は海外旅行ばかりをしていて、仕事に対する具体的なイメージや志といったものを、まったく持てていませんでした。就職活動については、まずは会社を知らなければと思い、マスコミをはじめ幅広い業界40社、100人にOB訪問させていただく、というところから始めました。この辺は現在のシュウカツと感覚的には近いかもしれません。

就活の際、履歴書に掲載した写真

男女雇用機会均等法施行3年目でしたので、女性キャリア採用についてはまだ模様眺めの企業も多く、おのずと対象企業は絞られました。総合商社を選んだのは、まずグローバルな仕事がしたかったから。そして、学生の甘い幻想ですが、「総合」商社というからには、きっと何でもできるに違いないと思ったからです。

1989年当時、大手総合商社で女性総合職採用を実施していたのは、三菱商事、住友商事、日商岩井(現、双日)の3社だけ、しかも各社の募集は3人程度の若干名でした。

最終的に三菱商事を選んだのは、祖父も父もおじも従兄弟も三菱グループに勤めていたので、何となくロイヤリティを感じていたということもあります。こういうと「何だ、コネ入社か」と思われそうですが、実際には総合職150人の内、女性は2人しか採用されないわけですから、縁故で入れるような甘い世界ではありません。

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