卓球男子が超速で「世界最強」に近づいた理由 悲願の「中国超え」も夢ではない

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リオオリンピックの卓球男子シングルスで銅メダルを獲得した、水谷隼選手(写真:Gonzalo Fuentes/ロイター)

まさか、こんな日が来るなんて!全国の卓球ファンにとって、今回のリオオリンピックはまさに「夢にまで見た瞬間」が訪れた奇跡のような大会だった。その主役はもちろん、男子シングルス及び団体戦に出場した水谷隼選手である。

きっと忘れることのないその瞬間は8月11日に訪れた。水谷はベラルーシ代表のウラジーミル・サムソノフ選手を4対1で下し、日本人として卓球シングルスで初めての銅メダルを獲得したのだ。さらに男子は団体戦でも技が冴え、銀メダルに輝いた。一方、女子はシングルスではメダルを獲れなかったものの、団体戦では銅メダルを獲得。この活躍に多くの国民が注目し、女子団体の3位決定戦の瞬間最高視聴率は22.3%(関東圏)を記録したほどだ。

私自身、6歳からラケットを握り、競技者として27年間卓球と関わってきたが(過去にはインターハイなど全国大会への出場、また国際親善試合にも出場)、今大会ほど胸が熱くなったことはない。特にシングルスでのメダル獲得は、私のような卓球競技者、そして卓球ファンにとっては夢そのものだった。

いつの間にこんなに強くなかったのか

しかしながら、いつから日本卓球界はここまで強くなったのだろうか。2012年のロンドン大会では、女子団体で史上初の銀メダルを獲得したものの、シングルスでは、男女ともにメダルを獲得することができず、男子にいたっては、準決勝にすらコマを進めることができなかった。(男子団体は、香港に準々決勝で敗退、男子シングルスは、岸川聖也選手の準々決勝進出が最高)。

つまり、わずか4年間で日本選手たちは驚くべき成長を遂げたと言っていい。以下、考えられる理由を3つ挙げてみた。

まず一つ目は、若手の育成が急速に進んでいることだ。男子団体に出場した水谷(世界ランキング6位)、丹羽(同22位)、吉村(同21位)の3選手のうち、丹羽(21歳)と吉村(24歳)は、いずれも20代前半と、現在の日本卓球界は若手選手の層が非常に厚くなっている。

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