次の米金利上昇が「日経平均」上放れの条件 米国IT相場でミニバブルの可能性も出てきた

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つまり、筆者の妄想でもあるのですが、再びIT相場がミニバブル的に起きる可能性が高いと思います。当時のIBMやオラクル、ヤフー、今のアルファベットやネットフリックスなど、ナスダックを牽引したIT銘柄は時代によって異なります。

しかし、インテルやアプライドマテリアルズなどの半導体関連株だけは、長期的に出遅れが明らかでした。足もとの半導体関連株の上昇は、ミニバブルが起きる前の前哨戦のようなもので、出遅れた分の伸びしろにベットした買いが半導体関連株に先に入ったということだと思います。ですので、ここからのナスダックの上昇を牽引するのは、2000年当時の銘柄群に戻るということかもしれません。

東京市場は最近、日銀によるETF買いなどの思惑もあって、日経平均株価がTOPIX以上に買われ、NT倍率(日経平均株価をTOPIXで割った倍率)が高止まりを続けていることが話題になっています。もしここからTOPIXが日経平均株価以上に買われる反動(低下)が起きるとすれば、TOPIXへのウエートが最も高い電気機器セクターの上昇が寄与することが予想されます。もし、ほんとうに米国でミニバブルが起きるとすれば、日立製作所(6501)や富士通(6702)に注目でしょう。

アベノミクス相場第2ラウンドはいつ

日経平均株価の13週移動平均線(1万6199円、8月22日)は依然として不安定な動きですが、順調であれば来月には上昇に転じ、9月後半あたりには13週移動平均線が26週移動平均線(1万6440円、同)を上回るゴールデンクロスが示現する見込み。4月高値(1万7613円)を上回ることができれば、2月安値と6月安値で二番底が形成され、昨年6月高値(2万0952円)からの調整(修正)波は三段下げ目に失敗したことが判断できます。

テクニカル分析では、「三段上げ・下げ」は相場の推進波を構成し、「二段上げ・下げ」は修正波の性格が強いとされています。現在、2000年高値を起点に2007年高値を通る下値サポートラインに支えられており、昨年6月高値からの調整が二段下げで終了すれば、アベノミクス相場の第2ラウンドに入る可能性が高まります。 

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米長期金利と日経平均株価は7月安値からほぼ同じ動きをしています。第2ラウンドに入れるかどうかは、今の短期もみ合いをどちらに放れるかがとても重要です。株価上放れに待ち望む材料は、やはり米金利の上昇です。ドル円は円高ながらも100円前後で耐えていますが、もし国内金利の上昇が一服さえしていれば、次の米金利の上昇局面では急激な円安への逆噴射がありえるかもしれません。

前回もお話しましたが、中期トレンドをみる「新値10本足」の大転換に近い、トヨタ自動車(7203)の地味な株価上昇がそれを織り込み始めているような気もします。

さて、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のためにハンドブック(初級編①)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編に続く冊子です。無料で配布しておりますので、興味のある方は、NTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編とあわせて2冊申し込むことも可能です。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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