若手とシニアがタッグを組めば、社会が変わる 「逃げ切った世代」と「逃げ切れない世代」

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「逃げ切った世代」と「逃げ切れない世代」の意外な共通点

そして最後に、僕がこの乱暴なオリジナル世代論でひとつ思っているのは、「逃げ切った世代」である60~70代と「逃げ切れない世代」の20~30代とは、実は限りなく近い想いを持っているかもしれないということだ。

日経新聞の一面特集「シニアが拓く」。シニア世代の社会貢献志向に触れている

自分たちは「逃げ切った」と思っているシニア世代には、これからいかにして社会に対して恩返しをしていこうかと真剣に考えていらっしゃる方々が非常に多い。つまり、「社会をよくすること」に対して、高いモチベーションを持っている方がたくさんいるのだ。この点において、「逃げ切った世代」は「逃げ切れない世代」とつながっているのだ。

そして、この2つの世代がタッグを組むことには、大きな親和性がある。20~30代は若くて活力があり発想する力にあふれているが、経験や人脈、そして財力には弱みがある。一方で、60~70代の方々はまさにこれらを持ち合わせているし、さらに時間に余裕がある人も相対的には多い。この2つの世代が協働することで、確実に何かが生まれるはずだ。

そして、実はこうした動きは、すでに始まっている。少し、僕の周りで起きていることを紹介したい。

たとえば、僕がいつもお世話になっている、一橋大学イノベーションセンターの米倉誠一郎教授。米倉先生は今年で御年60歳になるアカデミズムの権威だが、そんな先生は、僕たちを含む、まだ何も成し遂げていないような若手たちの志と挑戦を積極的に応援してくださっている。

クロスフィールズの特別顧問としてサポートしていただいている米倉誠一郎先生

創業間もない頃、大学の後輩であるというだけの理由で、僕は荒削りのビジネスプランだけを携えて先生に会いに行った。すると、「面白いじゃないか。君たちがやろうとしていることは、未来をつくることそのものだ。AppleとMicrosoftと同じくらい重要なことだ。頑張れ!」という言葉をいただき、ダメもとでお願いした特別顧問への就任にも即答でOKして下さった。

その後も定期的にお会いして経営面でのアドバイスを頂戴したり、先生の人脈やネットワークを通じて事業をサポートしていただいている。いつも恐縮しながらお願いをしてしまうのだが、そのたびにこんなメールが送られてくる。「なにを遠慮しているんだ。いいことをやるのに遠慮は必要ない。周りにあるものすべてを利用しないと、事は成し遂げられない。必要な言葉は2つ。『おねがいします』、『ありがとう』だ」。

こんなカッコいい大人はなかなかいないと、心から思う。いつもありがとうございます。

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