欧州で燻る政治リスク 一見、小康状態も、今秋に向けて正念場は続く

拡大
縮小
イタリア総選挙での勝者は、既成政党を批判して若者の票を集めてグリッロ氏(写真手前)(撮影:ロイター/アフロ)

3月に入り、NYダウ平均が連日最高値を更新するなど、株式市場に楽観ムードが広がっている。2月末のイタリア総選挙時にはNYダウ平均が前日比216ドル安と一瞬、大幅反落し、冷や水を浴びせられたが、その後持ち直し、年初来の株高基調が持続している。

イタリア10年国債の利回りも、選挙後の上昇幅は40ベーシスポイントほど。水準は4%台後半と、かつての6~7%台に比べ安定している。

山場は3月下旬

イタリア政権の行方について、第一生命経済研究所の田中理主席研究員は、「民主党会派が単独、またはモンティ現首相派と組んで政権を発足させ、政策ごとに今回躍進した『五つ星運動』に閣外協力を求める、というシナリオが成立する確率が高い」と分析する。早ければ3月下旬にも新政権が発足する。

ただし、リスクもある。協議がまとまらず再選挙となれば、5月に任期切れが迫る現大統領に議会の解散権がなく、再選挙は早くても7月になるという。

いずれにしても、新政権の基盤は脆弱だ。勢力を伸ばした「五つ星運動」は緊縮に反対して若者の票を集めたポピュリズム団体で、これまで議員を出したことがない新勢力。金融市場やイタリア財界などは、改革の後退を懸念している。

次ページイタリアだけではない
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT