採用数に達しなくても人材レベルに妥協せず リクルートが『就職白書2013』」を発表

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また内定者に対する満足度は、「非常に満足」「どちらかというと満足」の合計が69.2%を占め、「どちらかというと不満」「非常に不満」の合計は11.5%であり、前年とほぼ同様の傾向だった。

14年新卒の採用時期とスケジュールについては、13年新卒とほぼ同じと回答した企業が最も多かった。採用の時期の前倒しを懸念する向きは多いが、調査からは前倒しの気配は見えない。

また、13年卒と比較した14年卒の採用基準は、「13年卒並み」が76.1%で最も多く、次いで「厳しくなる」が17.0%。「緩くなる」はわずか1.2%である。55.9%の企業が「採用予定数に満たなくても求める人材レベルは下げない」と回答した。

一部の業界では厳選が弱まる

厳選採用の傾向は全体的には強まる傾向がある。しかし小売業などは、景気回復とともにビジネスチャンスが拡大する。売上げ拡大には販売員の増加が必要であることから厳選採用を弱める可能性がある。

岡崎仁美・リクナビ編集長は「世間全般では就職氷河期と言われていたのに、1年先輩の13年卒の内定状況が好転していることから、14年新卒の危機感が小さい」という。

<調査概要>

【企業調査】2013年卒(大学生・大学院生)の採用活動振り返り調査
 ・調査対象:全国の新卒採用を実施している従業員規模5人以上の
  企業4,340社
 ・調査期間:2012年12月3日~2013年1月21日
 ・回収社数:1,082社(回収率24.9%)

【学生調査】2013年卒(大学生・大学院生)の就職活動振り返り調査
 ・調査協力:株式会社クロス・マーケティング
 ・調査対象:クロス・マーケティング社のモニターにスクリーニング
   調査を行い、民間企業を対象に就職活動を行った全国の大学4年生・大学    院2年生の男女2,433名を対象にした
 ・調査期間:2013年1月8日~2013年1月15日
 ・集計対象:1,645人(回収率67.6%)

(撮影:風間仁一郎)

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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