資生堂、社長交代のチグハグ 前田会長が兼務で復帰へ、会見を全掲載

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――2年間の末川体制の評価は。

前田会長 この2年間の経営環境は極めて厳しい。その中で大変重責を担う仕事をこなしていただいたと思っている。とくに就任直後から震災の復興については、被災地も含めて精力的に取り組まれた。その後、経済環境も厳しくて回復してくる気配が見えない中で、業績にさほど大きな影響を与えずに乗り越えたのではと思っている。

直近では、中国の尖閣問題に端を発する不買運動が、経営全体にも影響を与えた。末川さんも苦しい中で知恵を出していただいた。努力に対してはレベルの高い成果を出してくれたと感じている。

「かなりのスピードで後継を育成しなければならない」

――後継者の条件は。どれぐらいの期間で選出するか。

前田会長 末川さん自身も次の後継について選考等に入っていた。実際に相談も受けた。簡単ではあるが、役員指名諮問委員会の中にも意見もあった。ご自身の後継者にも大変心を砕かれていた。ただ、もう少し先まで少し時間がかかるというわれわれの見方。役員指名諮問委員会からそういう判断もあった。

今後、かなりのスピードで後継を育成していかなければならない。ポイントは全社の経営に当たって、経営のプロとしての養成をしていかなければならないだろうと思う。もう一点は海外事業の売り上げ構成比をみると5割に近づいている。グローバル感覚に富んだ経営者像を、目指して選別しながら、重たい課題を与えながらも克服していく力を身につけていただけるような経営者を育成していく。

――2年前の社長交代会見。スピードと行動力を備えた若さが、末川さんの強みだと前田さんはおっしゃって、後を託された。前田さんの任命責任は。

前田会長 末川さんはスピード感を兼ね備えた経営者だった。私が就任中に成し遂げなかった、たとえば新しいビジネスモデル、本来なら私の任期中にレールを敷かなければならなかったこともあったが、それを託して実現ができた。私の後任として十分に期待に応えた。実際、末川さんが2年間で退任するのは非常に残念だが、健康上の理由である。指名・任命責任とは異なると認識している。

今後、末川さんが取り組んでこられた改革スピリットという、大きなものをしっかりと、私もしっかりと引き継いでいきたい。これだけ経営環境がどんどん大きく変化していっているので、私が在任中に考えていることも合わなくなっていることもあるかもしれない。総点検しながら、抜本的な改革を聖域を設けずにやる。具体的な内容については、先ほども申し上げたが、4月の決算発表会あたりで公表できる機会を設けたい。

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